自動車メーカー編

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業界トレンドNEWS Vol.163

自動車メーカー編

国内自動車メーカーにのしかかる「6重苦」とは?


■世界規模では引き続き成長が期待できる業界。技術提携・OEMなどで開発速度の向上がカギに

リーマン・ショック後の不況で、売り上げを大きく落とした自動車業界。しかし、アジアなどの新興国における需要拡大、米国市場の回復などに支えられ、この2年ほどは回復基調にある。2011年における世界の自動車販売台数は7559万台で、前年に比べて4.3パーセント増となった。現在、世界最大の市場は中国で、11年の販売台数は1851万台(対前年比2.5パーセント増)。続いて、アメリカの1280万台(対前年比10.3パーセント増)となっている。

一方、国内市場は長期的に見ると右肩下がりだ。1996年には708万台だった国内の販売台数は、11年には421万台にまで落ち込んだ。エコカー補助金などが追い風となった12年は、対前年比27.5パーセント増の537万台と急成長したが、日本自動車工業会によると、補助金効果の薄れる13年は対前年比11.7パーセント減の474万台にとどまる見通しだ。

現在、国内の自動車メーカーには、「6重苦」と呼ばれる負担がのしかかっている。これは、円高、高い法人税率、自由貿易協定への対応の遅れ、製造業の派遣禁止などの労働規制、環境規制の強化、電力不足を指し、日本メーカーの足を引っ張る要素として挙げられることが多い。さらに、「グローバル市場の拡大・国内市場の縮小」という状況が加わっているため、生産設備を海外に移転する傾向はますます強まりそうだ。ただし、自動車産業は部品・素材など関連する業界が幅広く、国内が空洞化すると日本経済自体に大きな影響を与える危険性が大。そこで自動車産業は、国内需要を喚起することで国内生産を維持するため、自動車取得税や自動車重量税などの廃止といった政策的な支援を要望している。

欧米日などの先進国や中国などでは、燃費性能に優れた「エコカー」の需要が拡大中。特に、電気自動車には注目が集まっている。09年に、世界初の商用電気自動車「アイ・ミーブ」(三菱自動車)が発売。10年に発売された「リーフ」(日産自動車)は、12年に欧米での現地生産も開始された。そして、米ゼネラル・モーターズや、独フォルクスワーゲンなども電気自動車戦略を打ち出しており、今後は競争が激化しそうだ。一方、新興国向け市場では、機能を思い切って省いた「小型・低価格車」が人気だ。今後は、現地のニーズを的確に捉え、それに合った車種を投入することがさらに重要になるはず。そこで、研究・開発部門を海外に新設する動きが盛んになっている。また、エコカーをはじめとした新車種の開発には多額の資金が必要。そこで、自動車メーカー同士、あるいは自動車メーカーと電池メーカーが業務提携・OEM(Original Equipment Manufacturingの略。他社ブランドの製品を製造すること)契約を結んで、コストを抑えながら競争力を高める動きも活発だ。

国内市場では、新たな需要を掘り起こすことが急務となっている。例えば、12年10月に行われた「お台場学園祭2012」は、国内の自動車・二輪車メーカーが協力しあい、車やバイクに興味がない人でも楽しめるように工夫されたイベント。このように、「車離れ」が進んでいると言われる若年層などにアプローチする試みは、今後も続けられるだろう。また、13年10月に行われる「東京モーターショー」などのイベントで、各社が魅力ある新商品を発表することも期待されている。