投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の2月25日〜3月1日の動きを振り返りつつ、3月4日〜3月8日の相場見通しを解説する。

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 先週(2月25日〜3月1日)の日経平均は、海外要因や需給要因に大きく振らされる相場展開となった。週初は日米首脳会談で環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の参加に前向きな発言が出たことや良好な日米関係による円安容認ムード。さらに、日銀総裁人事では金融緩和に積極的である元財務官の黒田東彦氏の起用を軸に調整される見通しになったことが好感され、日経平均は2008年9月末以来、4年5ヶ月ぶりの水準を回復して始まった。

 しかし、翌26日にはイタリアの総選挙の結果を巡り、イタリアの政局混迷を背景とした欧州不安からリスクオフに。欧州不安の再燃が、安倍政権の経済政策である「アベノミクス」効果に水を差す格好となり、日経平均は26日、27日の2日間で400円超の下げ。

 ただ、28日にはイタリアの国債入札が順調だったことで政局不安が和らいだほか、政府による日銀正副総裁の国会同意人事案提示を受けて、新体制による積極的な金融緩和への期待が高まった。そのほか、野村の日本株投信の設定による先物市場への買い需要。月末のドレッシング買いなどが観測されるなか、日経平均は大幅に反発。

 週末については、米財政問題の焦点である連邦政府の歳出強制削減措置が1日に発動の期日を迎えるなか、膠着相場に。しかし、日銀新体制による積極的な金融緩和への期待が強い。市場では黒田、岩田規久男(日銀副総裁候補)両氏が主導して、就任早々に大胆な金融緩和に踏み切るとの見方から、含み資産関連株への物色が強まっていた。

 日経平均は11250〜11660円辺りでの相場展開だったが、週明け25日が276.58円高、26日が263.71円安、27日が144.84円安、28日が305.39円高などレンジ内のなかで大きく振れている。且つ、海外要因などもあり、オープニング・ギャップでの方向感の掴みづらい局面でもあった。

 しかし、月間では7ヶ月連続の上昇となり、小泉政権時の2005年5月から2006年1月の9ヶ月連続に次ぐ連続上昇となる。3月相場入りとなった1日の取引をみても、月末ドレッシング後の需給反動を感じさせない底堅い相場展開だった。安倍首相が行った施政方針演説で示したTPP、原発、iPSなどのテーマ株への物色も活発である。市場のセンチメントは小泉政権時の記録更新への意識に向かいやすいだろう。

 そのため、米歳出強制削減によって利益確定に向かわせる局面もあろうが、調整局面では押し目買いの好機との見方になりそうだ。また、物色の流れをみても、輸出関連辺りへの利益確定の流れが継続する一方、緩和政策の恩恵を受けるとみられる不動産などに資金がシフトしており、米国のショック安は織り込まれているように映る。

 今週は米雇用統計など重要指標の発表が多く、積極的には手掛けづらい状況ではある。しかし、米国の足元の経済指標には予想を上回る結果が相次いでいる。歳出削減を受けた反応を見極める必要がありそうだが、実体経済に与える影響は小さいとの見方もあり、輸出関連への仕切り直しに向かわせる可能性も。また、週明け4日には黒田氏の所信聴取、5日には岩田、中曽宏(日銀副総裁候補)両氏の所信聴取が行われる予定である。政策が示されるわけではないが、意気込みから緩和期待が膨らむ可能性がある。

 そのほか、先週は事業規模20兆円超に上る緊急経済対策を実施するための2012年度補正予算が、参院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立。反対票をわずか1票差で上回っており、衆参ねじれ国会の下でも、政府提出の案件が参院で可決したことで、今後の政策実行力への期待が高まった。

 これにより、7月の参院選後に衆参のねじれが解消し、長期安定政権が発足するとの可能性が高まったであろう。決められない政治からの脱却が可能になるほか、政府・日銀による強力な金融緩和政策、これによる長期の円高トレンドからの修正が本格化するとの見方に。押し目買いの強さを見る限りでは、日本の変化に確信を持ち始めた海外勢による資金流入があるとみられる。