日本の満員電車は世界一? 海外の通勤電車事情比較

写真拡大

ぎゅうぎゅう詰めで、身動きもとれない。毎日毎日、出勤する前に、もうぐったり......。すっかり"苦行"の場となっている通勤電車ですが、こんなに満員なのは、日本だけ? そんな疑問に応え、海外の通勤電車事情を調べてみました。

国土交通省によると、2011年度の東京圏の主要路線の平均混雑率は164%。混雑率は、「輸送人員÷輸送人員」で、混雑率100%の定員乗車の目安は「座席につくか、吊り革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる」、150%は「肩が触れ合う程度で、新聞は楽に読める」となっています。平均164%とはいえ、「新聞を広げて楽に読めない」180%以上の混雑率となっている区間が15区間あり、JR総武線の錦糸町−両国間や東京メトロ東西線の木場−門前仲町間などは、「体が触れ合い相当圧迫感のある」200%前後! 数字だけ見ても息苦しくなってきそうです。

では、海外の鉄道は? 少し古いデータですが、2008年の「国土交通白書」参考データ編によると、各地の鉄道の混雑率は次の通り。
・ロンドン   149%
・パリ     152%
・ニューヨーク 71%(いずれも1991年)

東京と比べると、それほどひどくはなさそうですが......。昨年末の英テレグラフ紙によると、運輸大臣が「イギリスで最も混んでいる電車」と発表したのが、7時44分のヘンリー・オン・テムズ発ロンドン・パディントン行きで、定員の80%オーバーだそう。でも、「10人座れる場所ごとに8人立っている」という意味らしく、新聞の見出しにあったように「hell train」というほどのもの? という疑問も。ただ、車内にもともと立つスペースがほとんどないので、「混んでいる感」は数字以上にあるのかもしれません。

満員電車とは無縁のような数字となっているニューヨークでも、マンハッタンをくまなく走る地下鉄の朝夕のラッシュ時は、かなりの混雑になっているようで、一部で「座席なし」車両の導入も検討されたとか。とはいえ、乗っている人を押してまで乗ることはせず、1、2本待って乗る人が多いそうです。ただ、基本的に時刻表がなく、時間帯やその時の状況によって運行が変わるため、「いつ次の電車が来るのか分からない」という違う種類のストレスを抱えることも。

一方、経済発展著しい中国。自転車通勤大国のイメージは昔のことで、新華社通信によると、北京地下鉄の1日の旅客輸送数は今年1月、過去最高の869万人を記録しており、東京メトロの622万人(2011年度、1日平均)を軽く超えています。ラッシュ時の混雑具合も東京以上。通路にまで人があふれ、乗客が殺到してドアが壊れる事故が多発したこともあったようです。中国では数年前から「マナー向上」キャンペーンが続いていて、駅でのマナーアップもそのうちの一つ。車内でつばを吐く、ごみを捨てる、携帯電話で大声で話すなど「中国人は世界で最もマナーが悪い」との悪評もあり、国家をあげての取り組みが続いています。でも一朝一夕には改善されないようで、車内や乗り降りでの事故やトラブルは後を絶ちません。

中国に次ぐ世界第2位の人口を抱えるインドでは、首都や周辺都市を結ぶ地下鉄や高架鉄道網が張り巡らされており、日本のラッシュ時と同程度の混み具体になっています。ただし、ホームで乗客が並ばないため、乗降時の混雑ぶりは日本以上。インドの鉄道公社も「列を作って順序良く乗り降りしましょう」という標語を駅に掲げ、整理員を配置しています。ところが、整理員がいる時は列を作っていても、電車がホームに入ってきてドアが開いた途端、列が崩れ、元の木阿弥に。また、インド最大の商業都市ムンバイなどでは、ドアのない列車が普通に走っています。もともと、どこからでも乗り降りするのがインド式ルールなのですが、車内の混雑に押され、誤って落ちてしまう事故も起きています。

それぞれのお国柄はあるものの、基本的にはどこの国でもやっぱり通勤電車は「痛勤電車」。今日も世界のどこかで同じように満員電車に揺られて不快な思いをしている人がいると思うと、通勤の苦痛も少しは和らぐ、かも?

文●木下洋子(エフスタイル)