短期でこれを転売している痕跡はない。

中野 : 持ちっぱなし。

田代 : 今回次第に長く持つ株とそうでない銘柄が分かれてきた。

この50社は尖閣事件を挟んでもなお急速に買い進んだ会社が並んでいるわけです。

理由などは書いていますが、重要なのは既に日本の金融市場においてもチャイナマネーは実際に働いている。

現在、J-REITの価格が上昇しているのも、相当に中国からのお金が入っていると言われている。

中野 : CICといわれるファンド自体が実際どこから生まれてきているお金ですか。

田代 : 中国の外貨準備から2000億ドルを拠出してつくった機関です。

中野 : そのうちの日本株に投資している比率はどれぐらいとイメージすればいいですか。

田代 : 恐らく全体のうちの半分から3分の1が株式投資に向かっていると考えられます。

中野 : 日本に対してものすごいエクスポージャーをとっているということですね。

なぜですか。

田代 : それは日本企業の株価ではなくて、日本企業の持っている技術、ノウハウ、ブランド、国際的販路、グローバルビジネスを経営する能力、そのすべてに対して彼らは関心を持っている。

中野 : いってみれば大株主ではないですから、経済的リターンを得るだけの投資に見えますけれども。

田代 : それだと理解できない会社も入っている、パナソニックのように。

そういう点からもここを集中して取り上げたのですが、ぜひご関心のある人はネット上で後からでも購読できますので、どうぞご覧になってみてください。

中野 : これが示すものは、中国がこれから日本に対してお金の力で何をしてくるかと考えたらいいですか。

田代 : 中国の発展にとって重要なものを持っている企業に対して、その株式を買ってくるわけです。

社債ではなくて。

中野 : それはいわゆるM&A的にがぶっと飲み込まれてしまうような買い方なのか、それともそうじゃないのか。

田代 : M&Aをやって意味があるのは、中国企業が十分に成長してからです。

現状では日本企業でなければ困るわけです。

その点からすれば、次第に経営に参加する。

そのうちHaier(ハイアール)が三洋の白物家電部分、あるいはLenovo(レノボ)がNECのパソコン部門を買収したように、日本側が持っていても仕方ないという部分を、手放す部分を受け取っていく形に入っていくはずです。

中野 : 考え方によっては、日本の株式市場はチャイナマネーで下支えされていって成長していくのではないですか。

田代 : そのように日本側も努力すべきですね。

中野 : 逆に、呼び込んでもいいんだと。

僕らにとって意外な話ですね。

買われてしまうことがとても嫌なことのようにとらえられてしまうのですが。

田代 : ”長期安定株主”として考えて、逆に我々は中国政府によってこれだけ株式を買ってもらえる企業なんですからと言って中国企業に対して切り込んでいく。

中野 : これは目からウロコでしたね。

中国のお金はワルみたいなイメージがありますが、チャイナマネーを活用して我々自身の経済の次のステージというものをつくっていくことが日本人に逆に求められている。

そういう観点から日本株を見ていきましょう。

あるいは日本株だけではなく、世界の株式市場に中国のチャイナマネーが動いていますから、そういうものを抜きにしてはグローバル投資は語れないですね。

本当に勉強になりました。

3回目はもっとびっくりするような話が期待できると思います。

またよろしくお願いします。

ありがとうございました。