その際は、その企業の現状とか雰囲気について聞いたりします。

また、実際に訪問するだけでなく、定量的な分析を行ったり、さまざまな角度から銘柄を選択していきます。

――プロの目線で、銘柄を慎重に選んでいくわけですね。

ところで、さきほど、「アクティブファンド」にも、「バリュー」「グロース」などのくくり方があるとおっしゃっていましたが、これはどうやって分類するのでしょうか。

「バリュー」というのは「割安」という意味です。

今は割安に放置されているけれども、業績などを見ると今後株価が上昇するのではないかと見込まれる銘柄を発掘して、それに投資するのが「バリュー(割安株)投資」です。

いわば”逆張り”的な発想の投資手法ですね。

企業の本質的な価値よりも安く放置されているので、そこに着目していこうというのが、割安株投資なのです。

例えば、株価を一株当たりの利益で割った「PER(株価収益率)」や、株価を一株当たりの純資産価格で割った「PBR(株価純資産倍率)」を見て、利益や資産価値と現在の株価を照らし合わせ、本来株価がもっと上がっていいはずなのに正しく評価されていないような銘柄を発掘します。

実際の投資にあたっては、割安である要因を慎重に見極めた上で、行ないます。

――「バリュー」とは「割安」という意味なのですね。

では、「グロース」はいかがでしょうか。

「グロース」は、今が特に割安というわけではないけれども、今後この企業は収益の伸び率が2桁台になりそうだとか、成長を期待できる銘柄です。

「バリュー」株投資は現在の株価水準を分析して投資を行いますが、「グロース」株投資は現状の株価水準というより、将来の企業業績を加味して今より高い伸び代が期待できるような銘柄に投資するものです。

――「バリュー」はPERやPBRなどの指標があって分かりやすい部分もありますが、「グロース」銘柄を発掘するのは難しそうですね。

今後の業績見通しとか、キャッシュフローの状況とか、バリューを発掘する観点とはまた違う観点から銘柄を見ていくのが、「グロース」の特徴ですね。

――「バリュー」と「グロース」、どちらが人気があるのでしょうか?人気があるかないかはその時の相場の状況によって異なります。

たとえば、2000年の「ITブーム」の時には成長期待が高いグロース株に人気が集まりました。

一方、現在の日本株は過去の水準と比べて割安な銘柄が多いとされていますので、バリュー株投資が注目される傾向にあるかもしれません。

なお、1985年以降の日本株式の運用スタイル別のパフォーマンスをみると、バリュー株は多くの期間で市場平均を上回りました。

逆にグロース株は多くの期間で市場平均を下回りました。

――「バリュー」と「グロース」、双方の特徴がよく分かりました。

それ以外のくくり方はありますか?「大型株」「小型株」といったくくり方もあります。

「大型株」は時価総額の大きな銘柄で、誰でも知っているような銘柄に投資するのが特徴です。

インデックスファンドを買うよりは、企業の顔が見えやすいといえるでしょう。

「小型株」は、時価総額が小さい銘柄で、値動きが比較的ダイナミックです。

大型、小型の中間の「中型株」に投資するファンドもあります。

実は東証は、「大型株」「中型株」「小型株」それぞれの株価指数も発表していますので、それに連動することを目指すインデックスファンドもあります。

また、アクティブファンドで、「小型」でかつ「バリュー(割安)」であるという銘柄に投資するファンドもあり、さまざまな組み合わせが可能になっています。

過去のある期間においては、この「小型」で「バリュー」が、パフォーマンスの上位にくる傾向もみられています。