【うちの本棚】154回 SLICK STAR スリック・スター/板橋しゅうほう

「うちの本棚」、今回ご紹介するのは、板橋しゅうほうの『SLICK STAR スリック・スター』です。

『DAVID』で描けなかったアイデアをこの作品で描ききったという印象があり、ぜひ『DAVID』と併せてと読みいただきたい作品です。

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22世紀、地球の衛星軌道上にいくつか存在するスペースコロニーのひとつ「マイダス」に住む錬児クゥォーターマンは、相棒のホスゲンとふたりで賞金稼ぎをしていた。賞金稼ぎといっても警察の下請け仕事で、半ば探偵のような仕事。ストーリーの途中で探偵事務所を開設している。

アトキンス警部から依頼された人物を追ううちに、錬児たちは大きな事件に巻き込まれていく。それはシュドメックという人物が開発していた、人間の脳に直接アクセスできるインターフェイスで、人体にその装置を埋め込んだ者を「サイクス」と呼ぶ。

読み始めて感じたのは「なんか、読んだことがあるような気がする」という感覚だった。そう、同じ板橋作品である『DAVID』に似ているのだ。単行本第1巻はシュドメックが企んでいたインターフェイスを使った計画に関するエピソードなのだが、これは全体のストーリーにプロローグとなっている。というか、サイクスという存在がこの作品の重要な要素となるので、まずはその説明に費やしたといってもいい。第2巻後半から始まる錬児の素性に関する秘密と、ある大企業が企む地球と人類に関する最悪の計画は『DAVID』で描けなかった後半部分ではなかったのだろうかと思える。

単行本のカバーに描かれたのはレオナスというサイクスで、シュドメックの右腕であり、錬児の仇敵なのだが、その素性にも秘密があり、この作品のヒロインとして活躍することになる。もっともシャオリンという女刑事が錬児の憧れの女性として登場してくるのだが、その存在感はフェードアウトしていく。

舞台は第4巻から地球に移る。このあたりも『DAVID』と同じで、ストーリー上の時間が一気に半年跳ぶというのも似ている。
『DAVID』では結末をナレーションで説明して終わらせていたが、本作品ではきちんとしたラストを用意している。もっともちょっと長めのナレーションが入るのは板橋作品の特徴とも言えるので、これは個性ということにしておこう。

コミック原作の映画やアニメが多いいま、本作が連載されていたら、間違いなく映像化されていたのではないかと思う。いや、連載時期はちょっと古くなるとはいえ、今でも十分に魅力のある作品なので映像化されてもおかしくないのではないかと思う。

初出:潮出版「月刊コミックトム」1990年6月号〜1994年2月号

書 名/SLICK STAR スリック・スター(全4巻)
著者名/板橋しゅうほう
出版元/潮出版
判 型/A5判
定 価/1、2巻・900円、3巻・950円、4巻・990円
シリーズ名/希望コミックス
初版発行日/1巻・平成4年2月25日、2巻・平成4年12月25日、3巻・平成6年5月25日、4巻・平成6年12月10日
収録作品/SLICK STAR スリック・スター

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(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/