放送作家として『料理の鉄人』『世界遺産』『おくりびと』などを手がけ、現在山形の大学で教鞭もとっている小山薫堂氏。ある大学生に教えた「大人の人生の歩み方」が書籍『日経プレミアPLUS VOL.5』で紹介されています。

 神奈川から山形の大学にやってきた直哉という学生。小山氏との会話のなかで、貯金が80万円もあることが判明しました。大学生になったら世界を一人旅しようと考えていた直哉が、小学校の頃から貯めていたお金です。それを聞いた小山氏は、冗談半分で、銀座のスナックに連れて行ってくれと頼んだとのこと。当然、「それは、勘弁してください」ということでその場は終わりました。しかし、その後、「80万円は出せないが、20万円ならいいです」という直哉からのメールが届いたのです。大変感激した小山氏は、「偉い!20万円持って東京に来い。大人とはどういう人生を歩むべきかおまえに叩き込んでやる 父」と返信しました。

 2週間後、東京にやってきた直哉は、20万円が入った封筒を小山氏に渡しました。スナックの前に寿司に行くことになり、小山氏は一緒に仕事をしていたFM放送のプロデューサーも誘っていいかと直哉に聞きました。すると、顔を引きつりながらも直哉はOKを。お店が満席だったため、結局、有名なフランス料理屋に入ることに。シャンパン1本1万5000円、前菜のフォアグラは2800円です。学生の直哉にとっては驚く金額、半分涙目にもなっていたそうです。

 お店には偶然、ラルフローレンの副社長もいました。小山氏とは知り合いで、会話をしていたところ、小山氏は、副社長のテーブルの会計も一緒にもっていいかと直哉に提案。「いいです、どうぞどうぞ」の答えをもらうと、散々飲み食いして、その日を満喫したそうです。お会計を済まし、封筒は直哉の元に戻りました。

 実はその封筒、預かった20万円のうちの19万9990円が入っていたのです。小山氏は、10円の授業料で「大人の人生の歩み方」を教えたということに。なんとカッコいい行動なのでしょう。

 その後、いろんな男子学生から20万円を払いますという話がきたようです。小山氏は、そういうお金の使い方ができる若者のことを「素晴らしい」と言います。

 「最近の若者は本当に物を買わない。買っても安いものしか買わないし、自分の楽しみのためにお金を使いません。これは本当にもったいないないと思いますので、今はお金の遣い方を、若者たちに教えています」(小山氏)

 「大人の人生の歩み方」を学んだ若者は、また、下の世代に受け継ごうとするでしょう。小山氏は、大人として本当にカッコイイ振る舞いをみせたといえましょう。



『日経プレミアPLUS VOL.5―35歳からの実用世界史 (日経プレミアシリーズ)』
 著者:日本経済新聞出版社
 出版社:日本経済新聞出版社
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