その中でも10巻までが高値で取引されます。

背表紙の巻数表記の色が、各巻で異なっているのが初版の特徴です。

弊社では1巻の初版美本ならば5万円で販売します。

――手塚先生の作品で高価なものと言いますと、どのようなものでしょうか?手塚先生の場合はいろいろ条件が付くんですよ。

――と言いますと?手塚先生の作品は数が多く再販も多いので、同じタイトルでも条件が付きます。

一番高価なのは『新・宝島』の1947年1月30日発行の初版本でしょう。

美本であれば、販売価格は500万円になると思います。

――『新・宝島』は私でもタイトルだけは知っています。

有名な作品ですよね。

はい。

手塚先生自身が40万部印刷されたとおっしゃっています。

多すぎるという人もいますが、私はその部数に信憑性があると思っています。

1月30日、4月20日、6月1日、7月25日……と刷りを重ねていますが、1回の刷りが10万部であれば十分に届きますから。

――初版以外の発行日のものになると価格はどうなるのでしょうか?それは数がぐっと多くなってしまうので価格は80万円くらいになるんですよ。

――難しいものなんですね。

――手塚先生の他の作品はいかがでしょうか?手塚先生の場合にはミステリーがあるんですよね。

――ミステリー……どういうことでしょうか。

見つかってない作品と言いますか……。

手塚先生自身で作った自分の作品リストには掲載されていたのに「発見されてない」作品があるんですよ。

『モモーン山の嵐』というのがリストにあったんですね。

――『モモーン山の嵐』。

ないんですか?先生の日記にも「出版社に原稿を届けた」と出てくるんです。

なのに本が1冊も発見されていないし、誰も見たことがないんですよ(笑)。

――それは不思議ですね。

手塚先生はなにせ多作な方でしたので、そういったことが起こるんですね。

2006年に、今までリストにしか載っていなかった幻の『ハンスと金の髪の毛』がなんとアメリカのメリーランド大学から出てきたなんてことがありました。

――えっ、なぜアメリカにあったんですか?連合国軍最高司令官のマッカーサーの下で戦史室長をしていたゴードン・W・プランゲが占領下の日本で検閲した出版物を大学に移送したものから見つかったんです。

――そんなことがあるんですね。

あるんです。

でも『モモーン山の嵐』はその中にもなかった(笑)。

――もし出てきたらどのくらいの価値があるんでしょうか。

古川でしたら1,000万円は出すのではないでしょうか。

下手したら億の価格が付くかもしれませんね(笑)。

――少年ジャンプの黄金期、1980年代の単行本などはいくらでしょうか。

そのころ漫画を読んでいた人は多いと思いますが。

例えば、『ジョジョの奇妙な冒険』や『ドラゴンボール』でも、当時の初版単行本が美本でセットになっていれば高値が付くと思いますが……。

でも、評価されるのはこれからだと思います。

「この価格で売れるんだ」というのが分かってから皆さん探し始めるので……。

――やはり需要と供給のバランスなんですね。

そうですね。

『ワンピース』などもこれからでしょう。

――例えば『こちら葛飾区亀有公園前派出所』などはいかがですか?『こち亀』は、1巻から6巻までの作者名が「山止たつひこ」名義のもの、初版で美本であればセット販売価格で1万円前後ぐらいでしょうか。

漫画の世界でも、やはりレアなアイテムは高価になってしまうようですね。

しかし、1冊で400万円、500万円とは驚きの価格です。

(高橋モータース@dcp)『まんだらけ』ホームページはこちら。