携帯電話メーカー編

業界トレンドNEWS Vol.162

携帯電話メーカー編

事業再編も!?日本メーカーが海外市場で存在感を示すための施策とは?


■アップルなどに押されて日本メーカーの存在感は低下。独自の強みを生かした海外展開が巻き返しのカギ

リサーチ・コンサルティング企業のMM総研によれば、2012年4〜9月における携帯電話端末の国内総出荷数は、前年同期比1.0パーセント増の2049万台。うち、スマートフォンは1422万台で、前年同期比で41.6パーセントの大幅増となった。総出荷台数に占めるスマートフォンの割合は約7割にも達しており、今後も増える見込み。携帯電話市場の主役は、従来型の携帯電話からスマートフォンに、完全に交代を果たしたと言えるだろう。

国内市場に限れば、日本メーカーもそれなりの売り上げを確保している。12年4〜9月の国内シェア1位はアップル(シェア22.3パーセント)だったが、2位に富士通(17.7パーセント)、3位にシャープ(12.4パーセント)、4位にソニーモバイルコミュニケーションズ(9.9パーセント)と日本メーカーが続いた。だが、グローバルな視点で見ると、日本メーカーの存在感は小さい。アメリカの市場調査会社であるIDCによれば、12年における携帯電話の世界出荷台数トップ5は、サムスン電子(韓国)、ノキア(フィンランド)、アップル(米国)、中興通訊(中国)、LGエレクトロニクス(韓国)。日本の各メーカーは、3パーセント程度以下のシェアしか得られていない。

日本メーカーが苦境に陥っているのは、スマートフォンの開発競争に出遅れたからだ。これまで日本では、メーカーが通信事業者から要望を受け、1年程度かけて日本のユーザー向けに高度に作り込んだ端末を開発。それを通信事業者が大量に買い取る、いわば「護送船団方式」とでも呼ぶべきやり方をとってきた。だが、この1、2年で、スマートフォンへのシフトが急速に進行するとともに、携帯電話端末市場がグローバルを前提とした競争環境に変化した。こうした動きに、「護送船団方式」に慣れ、同時に、経営資源を従来型携帯電話とスマートフォンに分散していた日本メーカーはついて行けず、海外市場で通用する商品を育てられなかった。

一方、日本企業にとって強力なライバルであるアップルやサムスン電子は、スマートフォンに経営資源を集中。さらに、グローバル展開を前提として端末を開発している。そのため、両社の生産数は日本メーカーの数倍〜十数倍に上り、コスト競争力や開発力の面で優位に立っている。また、通信事業者が国外メーカーの端末を積極的に採用し始めたことも、日本メーカーが苦境に陥る原因のひとつだ。

こうした中、日本メーカーも巻き返しを目指している。例えば富士通は、「らくらくスマートフォン」などを武器に、海外市場に本格進出すると発表(下記ニュース記事参照)。現在、年800万台の販売台数を、14年までに1000万台まで伸ばす目標だ。また、ソニーは11年10月、エリクソン(スウェーデン)が保有していたソニー・エリクソン株を取得。自社の100パーセント子会社とした(現ソニーモバイルコミュニケーションズ)。そして、スマートフォンと、ソニー製のタブレット・テレビ・パソコンなどをネットワーク経由で連携させることで、サービスの強化を目指している。このように、海外勢にない強みで差別化を図ることが、グローバル市場におけるシェア拡大のカギを握るだろう。

今後は、通信事業者との関係見直しが進みそう。要望された仕様に合わせて端末を開発するのではなく、端末メーカーとしての独自性を打ち出す取り組みが盛んになるだろう。また、中長期的な事業再編が起こる可能性も大きい。10年6月にはNECの携帯電話部門とカシオ日立モバイルコミュニケーションズが経営統合し、「NECカシオモバイルコミュニケーションズ」が創立。同年10月には富士通と東芝の携帯電話事業が統合されて「富士通東芝モバイルコミュニケーションズ(現富士通モバイルコミュニケーションズ)」が誕生した。iPhoneなどの海外勢に押されたままの状況が続くようなら、さらなる再編劇も十分にあり得るだろう。