銀行トリビア (20) なぜ今、「日銀」が話題になっているの?--誰が総裁になるか、世界も注目

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最近、ニュースなどで「日銀(にちぎん=日本銀行)」のことを見たり聞いたりする機会が増えています。

なぜでしょうか。

日銀が普通の銀行と違うことは以前紹介しました(http://news.mynavi.jp/column/banktrivia/006/index.html)。

日銀の役割は3つあります。

1つめは、お札を発行すること。

2つめは物価を安定させること、3つめは金融システムを安定させることです。

今、日銀が注目を集めているのは、2つめの役割です。

物価は国の経済にとってとても重要です。

物価が上がり続ける状態、つまりインフレになると国民の生活は苦しくなります。

ですから、インフレにならないよう日銀が金利や世の中に出回るお金の量をコントロールします。

その方法を決めるのが、日銀で毎月行われる金融政策決定会合です。

これには、日銀の総裁と2人の副総裁、それに6人の審議委員の9人が参加します。

インフレ対策といっても、日本はこのところずっと物価が下がり続けるデフレの状態です。

物価が下がるのは生活していくうえではプラスですが、モノを作る企業にしてみると、同じ商品でも以前より値下げしないと売れないので、業績が伸びず、従業員に払う給与が増やせません。

収入が増えないとみんなお金を使わなくなるので、モノが売れず、また価格を下げなければならないという、負のスパイラルに陥ります。

デフレを解消するために、日銀は政策金利を低い状態に据え置いています。

金利が低いと企業は金融機関からお金を借りやすくなるので、新しい設備を買うなどして生産を増やすことができます。

個人も、低い金利で住宅ローンを借りることができるので、家を買う人が増え、それにともなって家具や電機製品が売れることが期待できます。

もう1つのデフレ対策として日銀は、金融機関が保有している国債を買い取っています。

そうすると金融機関の保有するお金が増え、世の中に出回るお金の量が増えて、経済活動が活発になります。

ところが、日銀がこうした政策を取っているにもかかわらず、日本経済はデフレの状態から抜け出すことができていません。

そんな中、昨年12月の選挙で安倍政権が誕生しました。

安部首相は、デフレから脱するためには日銀がもっと積極的な金融緩和策を取らなければダメだと、日銀にプレッシャーをかけています。

安倍政権が日銀に求めている金融緩和策には、物価上昇率の目標を定めることや、日銀が買い入れる国債の量を増やすことなどがあります。

でも、目標どおり物価が上がっても、賃金が上昇しなければ国民の生活は厳しいものになります。

また、日銀が買い取る国債の量を増やすと、政府はいくらでも国債を発行できることになります。

そうすると日本国債に対する信頼が失われて国債が大量に売られるかもしれません。

国債が暴落すると金利が一気に上昇して超インフレになる可能性があります。

このように、政府のいうデフレ政策はリスクと隣り合わせの面があり、専門家の間でも評価が分かれています。

日銀としてもリスクの高い政策は取りづらく、今、政府と日銀がせめぎ合っている状態なのです。

日銀は政府とは独立した存在であることが法律に明記されています。

政治家は選挙があるため、目先の景気をよくしようとしがち。

日銀が政府に都合のよい金融政策を取らせると、それがインフレを招くことになりかねません。

ですから、日銀は、政府がどう言おうと、金融政策の責任者として自らの信じる政策を取ることができるよう、独立性を認められているのです。

でも、1月の金融政策決定会合では、政府の圧力によって、日銀は物価上昇率の目標を2%とすることを受け入れました。

これは、日銀がずっと拒んできたことであり、審議委員の中には「2%なんてムリ」と反対する人がいたにもかかわらず、です。

このように、現状は日銀が政府に押され気味。

そんなこともあって、日銀の白川総裁は任期が切れる4月を待たずに、3月19日に辞職することになったため、次の総裁を誰にするかが注目の的となっています。

総裁は政府が任命します。

安倍政権の考え方に近い人が総裁になると、これまでの日銀の方針が転換されるかもしれません。

日本の金融政策は世界経済にも影響を与えるので、誰が総裁になるのか、そして日銀がこの先どのような政策を取るのか、日本だけでなく世界が注目しているのです。