税制改正の議論が活発である。平成25年度の税制改正大綱を見てみると、所得税の最高税率の見直しや相続税の基礎控除の見直し、相続税率の引き上げなど、にわかに増税路線へ。これらは富裕層に対する増税が主なものだが、平成24年度までの税制改正等では、一般家庭においても増税となる影響のものが多々ある。

例えば、既に今年から、復興特別所得税(基準所得税額の2.1%を追加で課税)が実施。その他、来年からは復興増税の関係で住民税もアップすることが決まっているし、消費税も景気条項が付いているものの、このままいけば来年4月から8%へと引き上げられる模様だ。

家計における増税による影響が心配されるところだが、「うまく活用すればサラリーマンでも節税できる方法があることがわかります」というのは、ファイナンシャル・プランナーの伊藤亮太氏だ。

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既に決定されているもので、今年から使えるものとして「特定支出の範囲の拡大」があります。

特定支出(控除)とは、下記に該当する支出負担を余儀なくされるサラリーマンの税負担を考慮し、一定の要件を満たす場合には、給与所得控除後の所得金額から、さらに支出額に応じ差し引くことができるものをいいます。つまり特定支出が多ければ、所得税を少なくすることができるといえます。この特定支出の範囲が、平成25年から変更されているのです。

<特定支出の範囲(給与等の支払者により補填される部分を除く)>
・通勤のための支出
・転任に伴う転居のための支出
・職務上の研修のための支出
・帰郷等のための支出
・資格取得のための支出(税理士等の特定の資格取得費用を含む)
・勤務必要経費(職務と関連のある図書購入費、職場で着用する衣服の衣服費および職務に通常必要な交際費)

変更点のポイントは、最後の2つ(資格取得のための支出、勤務必要経費)。今年から、特定の資格取得費用についても費用として認められることになりました。また、勤務に必要な経費も、65万円が限度となりますが「経費」として差し引けるようになりました。職務に必要という条件があるものの、サラリーマンで税理士資格を会社から取得するようにいわれている場合などには、特定支出として適用できることになりますので、これを使わない手はないでしょう。

ただし、この特定支出控除は、年収1,500万円以下の方の場合、特定支出がその年中の給与所得控除額の1/2を超える場合に超えた金額分を差し引けるものです。特定支出が給与所得控除額の1/2に達していない場合には適用できません。なお、年収1,500万円超の方は、特定支出が125万円を超える場合に超えた金額を控除できることになっています。

資格取得の奨励をされているサラリーマンの方、職場でスーツ着用が義務付けられている方、図書購入が多い方などの場合、特定支出を用いれば節税につながり、かつ必要な知識や備品を入手できることができる一石二鳥な仕組み。増税ばかりに目が行きがちですが、メリットのある改正もあるのです。

なお、特定支出控除の適用を受けるためにはその領収書が必要となります。来年の確定申告時には特定支出に関する明細書や給与等の支払者の証明書も必要となる点も頭の片隅にいれておいてくださいね。

ファイナンシャル・プランナー 伊藤亮太
<プロフィール>
年間を通して平均約100件のマネー相談(家計簿診断、資産運用相談など)を行い、FP資格関連書籍六冊、証券外務員資格関連書籍一冊、金融入門一冊等、執筆も多数。大阪証券取引所、SBI証券、スルガ銀行、紀陽銀行等の金融機関、大東文化大、立教大学等で資産運用関連、金融業界動向の講義など多角的に活動中。2011年秋学期からは東洋大学経営学部会計ファイナンス学科非常勤講師も務める。
http://www.ryota-ito.jp/