バスケ部主将の自殺を機に、運動部の“異常な実態”が明るみに出た大阪市立桜宮高校。体育科の入試は中止となり、抜本的改革が進められている。そんな最中、「体罰」以上に許せない顧問教師の“ハレンチ事件”が闇に葬られていたというのだ。

「自分が高校3年生の時だから10年前の出来事だけど、クラスメイトのことだったから、はっきり覚えています。そいつは男子ソフトテニス部に所属しておったんですが、顧問の男性教師Xに無理やりフェラされたんです。かなりヘコんでいたけど、卒業までしぶしぶ、部活を続けていました」

 桜宮高校運動部の実態を取材する中で、本誌は思わぬ「告発」に出くわしたのだ。冒頭のように証言したのは、04年に同校体育科を卒業したOBである。

 当時、体育科の生徒は運動部への参加が必修であった。そのため、部活動を辞めるために退学する生徒も少なからず存在した。そのため、男色教師のレイプまがいの行為を受けても、その部員は部活動を続けざるをえなかったという。

「マイナースポーツだったけど、桜宮の男子ソフトテニス部いうたら、インターハイに出場する強豪として知られておったんです。なのに、Xはソフトテニスの経験がない。確か、学生時代はバドミントン選手やったはずです。桜宮に赴任したけど、バドミントン部はない。それで、同じラケットを使うスポーツならということで男子ソフトテニス部の顧問に就任したんですわ。だから、技術的指導ができない分、『勉強も教えてやる』と言って、休日に自宅に部員を連れ込んでおったんです」(前出・OB)

 Xが赴任するはるか以前から、同部では新聞コラムを書き写すなど、知力の鍛錬も欠かさない指導法がユニークだとメディアで紹介されている。その伝統をXは悪用したというのだ。

「自宅での勉強会で、Xは食事を部員にふるまったんです。すると、急に眠たくなって、寝込んでしまったらしいんですわ。クスリでも盛られたんと違いますかね。そのスキに、Xは部員のズボンを下ろして、パクリとやっとったそうなんです。どうして発覚したか? マネジャーが試合の映像を探そうとしてXのビデオカメラを探したら、行為の一部始終が映っておって、マネジャーが学校に知らせたんですわ」(前出・OB)

 もちろん、これだけならXの個人的な不祥事とも言えるが、問題はそのあとの組織的な対応にある。

「生徒たちにも知れ渡るほど校内で問題になったのに、Xは自分が卒業するまで桜宮に残ってましたわ。どうも、前任校でもXは同じようなことをして処分されとって、このままでは『クビになる』と言われておったようなんです。そやから、校内で隠蔽したんと違いますか」(前出・OB)

 確かに、01年に市立高校の男性教師が、顧問をしていた部活動の男子部員の股間を複数回触ったとして、市教育委員会から減給処分を受けた事件は存在した。もっとも、処分された教師の名前も校名も公開されておらず、Xと同一人物とは判断はできないが、このOBの告発内容と符合する事実は多い。実際に、その後の男子ソフトテニス部は部員が激減。現在は同校には存在すらしていないのだ。

 本誌はあらためて桜宮高校に事実の確認を求めて、取材を申し込んだ。すると同校の教頭はこう答えた。

「私自身も赴任する以前のことで、何ともお答えのしようがない」2月6日から条件付きながら運動部の活動を再開した桜宮高校。在校生の心のケアを最優先するとは言っているが、過去も含めた全ての“ウミ”を出しきらなければ、生まれ変わることはできないのではないか。