岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (25) これまでは本当に”超円高”だったのか?! ビッグマック指数が示す為替の真実

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先日輸出企業大手の会長が昨今の円安について、「超円高は是正されている局面」とコメントをしていました。

果たして、これまでが超円高だったのかどうか。

為替レートでは表面の数字だけでは測れない、実質的な価値という面を無視するわけにはいきません。

本当の為替レートの水準を計る1つの指標として、ビッグマック指数があります。

これは英国の経済誌であるエコノミスト誌が毎年発表しているものですが、エコノミスト誌のHPでの指数についての説明は、「THE Big Mac index was invented by The Economist in 1986 as a lighthearted guide to whether currencies are at their ”correct” level. It is based on the theory of purchasing-power parity(PPP), the notion that in the long run exchange rates should move towards the rate that would the prices of an identical basket of goods and services (in this case, a burger) in any two countries.」ビッグマック指数はエコノミストによって、各通貨が適正水準にあるのかどうか気軽な指針として1986年に開発されました。

長期的な為替レートというものは、2つの国において全く同一商品とサービスが入ったバスケット(この場合はハンバーガーになりますが)の価格は等しくなる、という購買力平価(PPP)の理論に基づいています。

そこで、ビッグマック指数から見た為替レートですが、最新の発表では2013年1月の実際のドル円レートは91円、日本国内のビッグマックの販売価格は320円、米国のビッグマックは4.37ドル。

日本でも米国でもビッグマックという同じ製品は、日米で同じ値段にならなければおかしい。

とすると320円=4.37ドルという関係は成立し、1ドルは=73.23円となります。

しかし、実際の為替レートは91.07円ですから、円はドルに対して19.5%ほど通貨安になっているということになります。

掲載されたデータを遡ってみるとわかるように、円とドルがほぼ同水準だったのは昨年や一昨年の78円台ということになります。

それでも円高水準ではありません、あくまでもドルと円との価値の均衡がちょうど適正水準で保たれていただけ、ということになります。

したがって、ビッグマック指数からは、実質的な通貨価値でみれば、現状は「超円高が是正された」というよりも、「ちょうどドル円レートは均衡していたのに円安に振れた」という認識となります。

ちなみに、2000年に円安水準となっていますが、この時は1ドル=106.00円です。

仮に今106円になっていれば30%以上ドルに対して円安水準になってしまうことになります。

このように、表面の為替レートだけでは測れない実質的な為替水準は購買力平価として現れます。

ビッグマック指数は各国の食文化まで鑑みているわけではない、つまりビッグマックが高級品とされる国もあれば単なる安物のファースト・フードに過ぎないと思われている国もあり、基本的に同じ価値であるとする考え方が間違っている、といった指摘がよくされます。

確かにそうした声もごもっともとは思いますが、実際に国際金融の最前線で為替取引をしていた者の感覚として、経済の高名な専門家と言われる人たちでさえ予想しえなかった段階から、サブプライム危機によるドルの減価やユーロ危機によってもたらされるユーロ安というのを誰よりも早くビッグマック指数は示唆していた、という事だけは言えるのです。

例えば2007年1月当時、アイスランドのビッグマック1つの販売価格はドル換算をすれば7.44ドル。

それを当時の為替レート1ドル121円で円価にすれば約900円という、とんでもない価格になっていました。

日本のビッグマックは2.31ドル(280円)でしたから600円近くも差があったのです。