「希望の部署」にうまく移る方法はあるか

■上手な「種まき」で自分をアピール

自分が希望する部署に異動するためにやっておくことは2つある。

1つは、「頑張ること」である。当たり前のことだが、これほど効果的なアピール方法はないだろう。

仕事を頑張れば、それが実績となって表れるので、上司をはじめ、いろいろな人に目をかけてもらえるようになる。そうなれば、上司などに「実は私は……」と希望部署の話もできるし、異動もしやすくなる。

もちろん、上司が仕事のできる部下を囲い込み、本人の異動希望を握りつぶす場合もあるだろう。しかし、いまいる部署で実績もないのに、希望の部署に異動したいという要求は通りにくい。いま以上に頑張るくらいの気持ちが必要なのだ。

もう1つは「会社をじっくり観察すること」だ。

自分が勤めている会社の社風をよく知っておくことが大切だ。例えば、ベンチャー系なら、社員の自主性、やる気を生かす「この指止まれ型」の人事が多い。一方、上司や先輩に逆らったら、希望の部署に異動するどころか、閑職に追いやられてしまう会社もある。

また、希望の部署には、どんな社員が移っているのかを知っておく必要もある。会社や社内の観察もせずに自分の希望を叶えようというのは考え方が少々甘いといわざるをえない。

そのうえで希望の部署に移るために非常に大切なことがある。それは「種まき」をすること。つまり自分をアピールするなど、その日に備えた布石を打っておくことだ。

例えば、直属の上司や先輩、異動したい部署の上司や先輩などに機会を捉えて「私が企画部に異動したらこんなことがしたい」などの“夢を語る”ことも方法の1つだ。その夢はできるだけ具体的な内容でなければならない。単なる夢物語では、「いまだに学生気分が抜けない奴」と一蹴されてしまう。

そうならないためには、夢を語るツールを用意しておく必要がある。自分が移りたい部署の仕事の勉強もきちんとやっておく。海外勤務などが希望であれば、TOEICの問題集を持ち歩くといった姿を周囲にさりげなく見せておく。自分は真剣に取り組んでいるという姿を示しておくのだ。

移りたい部署の上司や先輩も含めて、自分が語った夢を実現させるにはどうしたらいいかと相談を持ちかけることも必要だ。自分の味方になってくれそうな人を増やすことが重要だからだ。

やってはいけない「種まき」もある。いまの部署や上司、先輩に不平不満があるとしても、それを異動の理由にしないことだ。結局それは誰かを責めることになるし、責められた側は相手が悪いとなり、「そんなに嫌なら、会社を辞めてくれ」となってしまう。

心理学の面から見ると、嫌っている相手がどんなにいい提案をしても、悪く捉えがちだ。逆に好感を持った相手が同じ提案をした場合は、「その提案は面白い」などと褒める。人間はどうしても感情のバイアスが入る生き物だ。自分自身で感情をうまくコントロールし、どんなに嫌な相手でも、常に冷静に振る舞うべきで、いじける、拗ねるといった不快感情は禁物である。

問題は嫌った相手が上司であるケース。若者は感情的になりやすいと思われがちだが、感情のコントロール能力は、実は40歳を過ぎるころから徐々に低下してくる。感情を司る前頭葉が縮み始めてくるからだ。上司の顔を立てて、機嫌を損ねないように振る舞うことが大切だ。その意味では、自分と相手を冷静に観察できる人間ほど、希望の部署に異動しやすいといえる。

■部署異動を可能にする3つのToDo

【頑張る】今いる部署で実績UPさせよ!
【観察】自分の会社の社風をよく知る!
【種まき】上司や周囲の人たちに希望を伝える!

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精神科医
和田秀樹
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授。『上司を思いのままに使いこなす本』など著書多数。

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(精神科医 和田秀樹 構成=山下 諭 撮影=矢幡英文)