「いっそソチ五輪まで男子の強化予算も全部女子に回せばどうですか?」
長野五輪以来4大会ぶりとなるソチ五輪出場を決め、2月12日の帰国会見で飛び出したこの質問に歓声を挙げたのは、アイスホッケー女子日本代表の20人の選手だった。

‘98年の長野五輪に出場し、’02年のソルトレークシティー五輪予選(最終予選で敗退)で主将を務めた鈴木(旧・佐藤)あゆみさんが、苦難の歴史を振り返る。「そこからです。自力で行けなくなってから環境が厳しくなった。長野でいい思いをさせてもらって、ソルトレーク後にどん底を見て、こんなにも変わるんだなって」

それまで国内1万円、海外3万円だった遠征費の自己負担額は、国内1万円こそ変わらないものの、海外は5万円に増額された。「バイトをしながら、クラブチームに月謝を払い、遠征費もやりくりして。あのとき私たちが出ていれば…。その思いは12年、心のどこかに引っかかっていました」(鈴木さん)

それからトリノ大会でも、続くバンクーバー大会でも、最後の最後で“あと1勝“の壁に跳ね返された。
危機感を抱いたスタッフは、ソチ五輪予選に向けた4年間の改革を断行する。
「年齢層は幅広いですが、いままでにないまとまりがチームにありました。最後にメンタルコーチが来て、チームメイト同士が考えや”五輪への想い”を理解しあえたことが大きかった」(日本代表・足立友里恵選手)

そして迎えたソチ五輪最終予選、再び”あと1勝”の壁・デンマーク戦に挑んだ日本女子。結果は5−0。試合終了へのカウントダウンが終わると、「五輪に出れば環境も変わるはず」と口をそろえる選手たちの笑顔が氷上に弾けた。

「今回、もし五輪代表がかなわなかったら、代表選手たちは次々と現役を引退する雰囲気があった。出場権を取れたことで、あと1年は確実にこの子たちと一緒にホッケーができる、違う流れができるなと安堵してます」(元女子代表監督で、SEIBUプリンセスラビッツ監督・八反田孝行監督)

五輪出場が決まるや、すでに生命保険会社をはじめ、新たなスポンサー候補が名乗りを上げるなど、早くも周囲の風向きは変わりつつある。
「公式パートナーの『高須クリニック』の高須克弥氏が1億円の援助を約束。アイスホッケー連盟も、スポーツ振興くじの助成金などを財源に、総額で3億円規模の強化計画をすすめる予定です。これで、代表選手も海外に無償で遠征に行けるでしょうね」(スポーツ紙担当記者)

(週刊FLASH 3月5日号)