「専門業種」が舞台の漫画が多くないですか?




一般人のあまり知らない専門業種、専門業界を舞台にした「専門業種」漫画が増えていると思いませんか? 「専門業種」漫画には、その専門世界を「のぞき見る」「知る」という知的な喜びがあります。





ある専門業界、専門業種を舞台にした漫画を一応「専門業種漫画」と定義します。「専門業種漫画」は、普通の人の知らない世界を舞台にするので、知的好奇心をくすぐりやすいという特徴があります。



例えば現在『少年サンデー』で連載している『銀の匙』(ぎんのさじ)などは正しい「専門業種漫画」の一つといえるでしょう。



農業高校に入学した主人公の奮闘を描いていますが、読者は主人公と共にあまり知ることのない農業・畜産業について学ぶことができるのです。



特に、サラリーマンなど、働いている人を読者としている青年誌の場合は、読者の「ほかの仕事ってどんなふうだろう」という気持ちにアピールしやすいのでしょう。講談社の『週刊モーニング』『イブニング』では特にその傾向が強いようです。



以下に両誌の「専門業種漫画」を挙げてみます。



■『う』



「うなぎ」漫画。連載は終了しましたが、毎回毎回うなぎを食べるだけの究極の「専門業種漫画」。「うなぎだけ」なのになんと単行本4冊分も連載されました。「うなぎだけ」なのに、毎回おいしそうで、しかもうなぎについての知識も増えるなど、作者の並々ならぬ力量を感じさせます。



■『グラゼニ』



「野球業界」漫画。スター選手が主人公なわけではなく、主人公の目線を主軸に、野球業界の裏話をたっぷり見せてくれます。非常に正しい「専門業種漫画」といえるでしょう。



■『特上カバチ!! -カバチタレ!2-』



「行政書士」漫画。行政書士事務所に持ち込まれるさまざまな案件を描く。法律の知識も身に付く、ストレートな「専門業種漫画」です。



■『カレチ』



「昭和の国鉄」漫画。昭和の国鉄を舞台に、さまざまな人間模様をハートフルに描く。特に鉄道に興味がない人でも興味深く読めます。



■『ジャポニカの歩き方』



「在外公館派遣員」漫画。これまたニッチな職業ですが、ある南国の日本大使館に派遣されて働く若者の物語。



■『激昂がんぼ』



「事件屋」漫画。広島を舞台に、事件屋稼業を生業(なりわい)とする主人公の生き様を描く。裏稼業の生々しいありさまが魅力です。



■『とろける鉄工所』



「鉄工所」漫画。とある鉄工所を舞台に、溶接工の仕事が描かれる。漫画内に登場する溶接テクニック、専門道具には興味津々になります。



■『山賊ダイアリー』



「猟師」漫画。岡山県在住の漫画家が自身の猟師生活を描く。鳩をさばいたり、カラスを食べたり、イノシシをとったりと、一般人から見ると「おかしな日常」がとても魅力的です。



昨年『イブニング』誌上で連載が始まった漫画に以下のようなものがあります。



■『敗走記』



「関ヶ原で敗れた島津軍の道のりをたどる」漫画。島津軍の鹿児島までの敗走の道のりを漫画家に実際に歩かせて、それをレポートさせる企画。漫画家自身の疲れ具合がハンパないのです(笑)。



「関ヶ原で敗れた島津軍の道のりをたどる」は、専門業種でも専門業界でもありませんが、企画自体が「ただごとではない」のは確かです。



昔、さくまあきら師匠にお話を伺った際に、師匠が「もっと専門業種の漫画を企画するべき」と仰(おっしゃ)っていたのを思い出します。



ありとあらゆる職業が漫画になるでしょう。そこには職業ごとの秘密、慣習、喜びがあるはずですから。







(高橋モータース@dcp)