2011年、アメリカのケンタッキーフライドチキン社の書庫から、カーネル・サンダース直筆の自伝が発見されました。自伝の中には彼考案のオリジナルレシピも書かれており、現在その一部が日本でも販売され話題を呼んでいます。彼はなぜ、チキンに魅了され、全世界へ店舗を拡大することができたのか。

 カーネルおじさんが本格的にフランチャイズへ乗り出したのは60歳も半ばを過ぎてから。それまでの人生は波瀾に満ちており、二度の解雇、二度の事業失敗を経験。決して平坦なものではなかったのです。

 それでも彼を駆り立て、65歳で再奮起させたものは何だったのか。彼が持っていたのはたったの4つ。「家族」「車」「圧力鍋」。そしてもう1つ、様々な場面で運命を大きく変えてきた「ネガティブ・セールス」という口上術でした。完璧主義者のカーネルは、「自分自身が納得したものでないと売れない」という信条を持っており、31歳の頃に始めたアセチレン・ライトの販売や、圧力鍋を使って理想のチキンを開発・販売した時、「品質にこだわらないならば、うちの商品を見てもらう必要はない」と言い、購入後も客を満足させるという営業を行っていました。

 彼がここまで自信を持ってネガティブセールスに挑めたのは、決して自己評価のみで満足していたのではなく、その商品の基準がある「4つのテスト」に合格しているという根拠があったからです。その4つのテストをレストラン事業に当てはめてみると

・嘘偽りはないか?
・関与する全ての人に公正か?
・信用と信頼を築けるか?
・関与するすべての人に利益があるか?

となります。

「嘘偽りはないか?」
 開業したレストランで、カーネルは1ドル35セントという当時では割高なハムエッグの販売について「値段ほどの価値はありませんがお味は保証いたします」とメニュー表に書いていました。絶対の自信を持つ味を嘘偽りなく提供する。この方法でハムエッグはよく売れるようになったのです。

「関与するすべての人に公正か?」
 レストラン事業でフランチャイズを始めたとき、カーネルはすべての店にステーキの肉厚から重さまでまったく同じのレシピを伝え、徹底的にマニュアル化させました。どの州で食べても同じ味を提供できるようにこだわったのも、嘘偽りなく全ての人に同じ味を提供するためでした。

「信用と信頼を築けるか?」
 「値段ほどの価値はありませんがお味は保証いたします」、「ケンタッキー州でもノースカロライナ州でも同じ味を召し上がれます。同じでなかったらお代はお返しいたします」。堂々とした自信とネガティブセールスでお客さんの信頼を得たお店は、常に繁盛していました。

「関与するすべての人に利益があるか?」
 少々値段が張っても、お客さんが満足する味を提供する。どこの州で食べても、同じ味を提供する。カーネルはお客さんに「満足」という最大の利益を与えることに成功しました。

 商品に対する絶対的な自信と、客を想う4つのテストに合格したものにだけ価値を認め、情熱を注いだカーネル・サンダース。何度失敗しても、彼を成功へと導いたこの営業術。現代でも活かせるノウハウが詰まった一冊です。



『カーネル・サンダースの教え 人生は何度でも勝負できる!』
 著者:中野 明
 出版社:朝日新聞出版
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