日本人に似たミャンマー人のメンタリティ

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海外駐在員ライフ Vol.185

From Myanmar

控えめでおとなしいミャンマー人、上司には絶対服従?


■控えめでおとなしいミャンマー人スタッフたち

はじめまして。コウタロウです。ミャンマーの旧首都・ヤンゴンにある日系オフィスに勤務しています。

オフィスには、ミャンマー人スタッフと日本人の同僚が数人ずつおり、取引先は日系企業や、現地の省庁などになるため、仕事では主に英語を使っています。ただし、日本人スタッフだけで話をするときは、日本語になりますね。

ミャンマー人は、そのほとんどが敬虔(けいけん)な仏教徒。皆さん、いかに現世で功徳を積んで、来世で幸福になるかを考えている人々です。そのためか、性格は至って温和で控えめ。目上の人に対しては、常に尊敬の念を抱いており、上司に対しても同様です。したがって、上司に「提案」することはあっても、自己主張を展開して反論するような場面はまずありません。「絶対服従」というわけではありませんが、上司から指示されれば、速やかに遂行しようと努力してくれます。

彼らは、会議の場でも非常に控えめなので、発言するのは基本的に最も偉い役職者のみ。発言を求められたり、許可されない限り、それ以外の出席者が自分から発言することはありません。私の部下も、その件について最も詳しいはずなのに、私が発言を促さない限り、自分から口を開くことはありません。スタッフを採用するために面接をすることがありますが、大風呂敷を広げるような人には会ったことがありません。希望の給与額を聞いても、ごく控えめな金額を答える人ばかりです。

納期をきちんと守る点も、日本人とよく似ています。親しさよりも敬意を大事にするような距離感も、日本人にとっては心地よいですね。日本から要人を迎える際なども、欧米風に握手するのではなく、日本人のように一礼して迎えます。

声を荒げて怒りを表現するようなこともあまりありません。そういうときは、微笑むか、あるいは苦笑する程度です。仕事中の私語も少ないし、電話での話し方も抑えめで丁寧。仕事の成果を褒めたりすると、はにかんだり、「いえいえ、○○さんのおかげです」と謙遜したり…。そういった意味でも、ミャンマーの人々は、日本人とメンタリティが似ていて、一緒に働く上では、とてもやりやすい人たちなのです。常に、相手に不快な思いをさせないようにと非常に気を配ってくれているようで、ミャンマー人との人間関係で不快な目に遭ったという日本人には、今のところまだ会ったことがありません。

その一方で、命令されたことしかしなかったり、自己判断で動けないと言われることもあります。例えば、「上司が不在なため、書類を処理できない」と言われて作業が遅れてしまったり、式典の開始時間になっても、要人の皆さんが控室に集まらずに、一番偉い方を出迎えようと玄関に集まってしまっていたりするところでしょうか…。ただし、私自身は部下に対して、あまりそういった印象を抱いたことはありません。いつも実に的確な判断で、折々に細かく報告・相談してくれていますから。

仕事の場面以外でも、ミャンマーの人々の人の良さを感じることは多々あります。現世でできるだけ功徳を積んで、来世でできるだけ幸せになることを望んでいるので、盗みなどの犯罪行為はめったに起こりませんし、日本人にだまされたミャンマー人の話は聞いたことがあっても、ミャンマー人にだまされた日本人の話はとんと聞いたことがありません。

また、ミャンマー国民は、「お金」ではなく「家族の健康」などに幸せを感じることから、あまりお金にガツガツしないという傾向もあるようです。そのためか、ミャンマーでは、なくした鞄(かばん)が出てくるとか、落としたお金が戻ってくるといったことも珍しくありません。当社のバンコク駐在員がヤンゴン空港で約10万円入りの財布をなくしたときも、手つかずで戻ってきたことがあるくらいです。聞けば、財布のことはすっかりあきらめて宿泊先でチェックインの手続きをしようとすると、フロントから「空港で財布を落としたのではないか? それならすぐに空港へ」と言われたそう。空港に行ってみると、財布がそのまま保管されていたというのです。しかも、彼が入国カード内の「滞在先」に書いた住所が間違っていたために、空港の担当者がヤンゴンにあるホテルに片っ端から電話をして、「○○という日本人の予約は入っていないか?」と聞き回ってくれたとか。それほどミャンマーの人々は親切で人が良く、お金に頓着しないのです。


■オフィスでは男性スタッフも長スカート姿

ミャンマーのオフィスで特徴的なのは、男性スタッフ、女性スタッフ、共に「ロンジー」と呼ばれる長いスカートを身に着け、足元はサンダルを履いていること。ロンジーはミャンマーの伝統的な衣服で、各種式典のときの正装も、やはりロンジーにサンダルです。赴任当初は驚きましたが、雨季が長く、高温多湿のミャンマーにおいては、ごくごく理にかなった装いだと納得しています。男性は、ミャンマー国外に出かける際には、普通のズボンを着用しますので、ズボン姿がかえって新鮮だったりします。

一方、ミャンマーの女性は、「タナカ」と呼ばれる天然のリキッドファンデーションを顔に塗っています。これは、タナカという木の幹をすりおろして得られた液体で、保湿と日焼け止め効果があるそうです。そのせいなのか、基本的に屋内で働くオフィスワーカーでタナカを顔に塗っている人はあまりいません。

次回は、ミャンマーの人々の暮らしについてお話しします。