図1・2

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調査概要/gooリサーチとの共同で、インターネットを通じて調査を行い、1031人から回答を得た。調査期間は11年2月10日〜13日、調査対象は30〜50代の働く男女。

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■TOEICで仕事の実力がわかる

「ここのところの英語学習への関心の高さはすごい。久々の大きな波です」。ビジネスマンや学生から「カリスマ英語講師」と呼ばれる安河内哲也氏は語る。楽天やファーストリテイリングの英語公用語化をきっかけに、「英語学習熱」が一気に盛り上がっているのだ。

プレジデントでは、30歳以上の留学経験のないビジネスパーソン1000人を対象に、TOEICや英語学習についてアンケート調査を実施した。対象者は、偏りが出ないよう、TOEIC470未満、470〜730未満、730以上の人数が3分の1ずつになるよう抽出しており、各スコアレベルごとの年齢分布も30代、40代、50代で均等だ。

アンケートによると、62.6%が自分の勤務先で英語が公用語化されると困ると答えている(図1)。『残念な人の英語勉強法』の著者、山崎将志氏は「『英語公用語化』に対して誤解があるのでは?」と指摘する。

「朝の挨拶から普段の雑談まで、すべて英語にするわけではないはず。業務で使う単語を英語に置き換えるところから始まると考えれば、そう恐れる必要はありません」

TOEICのスコアを採用や昇進の基準にする企業も増えている。ただ、今回の調査ではまだ28.9%と、3割にも満たない(図2)。

ところが現実には、TOEICのスコアと役職や年収は、大きく関係している。図3を見てほしい。TOEIC730以上の人の割合は、一般社員では23.5%なのに対し、取締役・執行役員では47.4%、会長・社長も45.5%にのぼる。

「TOEICで測れるのは英語力だけではありません。仕事の実務能力も反映されます」と説くのは安河内氏だ。「TOEICで高スコアを取るには、ある程度の期間集中して勉強する『頑張る力』が必要。また試験当日も、短時間に大量の設問を解くための集中力、要領のよさ、事務処理能力が求められます。これらは仕事の能力に直結します」

山崎氏も同意見だ。「730は、勉強さえすれば何とかなるレベル。その程度の努力くらいはできないと、役員にはなれないということでしょうね」。

年収とTOEICスコアの関係も興味深い。年収400万円以上については、年収が高いほどTOEICスコアも高いという結果が出た(図4)。年収1000万以上の人については、46.9%と半数近くが730以上の高得点者だ。

しかし400万円未満については、TOEIC730以上が37.6%と高い。詳細を見てみると、400万円未満の高得点者は、半数が30代となっている。

「若い人は、危機感を持って一生懸命英語を勉強している人が多い。『TOEICスコアは高いが、まだ給与は低い』という、若い世代が一定数いるのではないか」(山崎氏)。このカテゴリーは「高年収予備軍」と呼べそうだ。

TOEICスコアを男女別に見た結果にも、はっきりした特徴が表れた(図5)。女性のスコアが高いことについて山崎氏は、今回の調査が働いている人を対象としていることが影響していると指摘する。

「リーマンショック以降、雇用環境は特に内勤事務職にとって厳しくなっています。優秀な人しか、仕事を続けられていないという見方もできるのではないでしょうか」。

TOEICスコアが高い、すなわち仕事の実務能力も高いであろう、若い「高年収予備軍」と優秀な女性。今後はますます、入社時点ですでに高い英語能力を備えた人材が入ってくることが予想される。彼ら、彼女らの能力をきちんと評価して率いることができるだろうか? わが身を振りかえるべきかもしれない。

「英語を使って伝えたいことがあるかどうか」にも注目だ(図6)。TOEIC730以上の73.8%が「英語で伝えたいことがある」のに対し、470未満では58.8%が「伝えたいことがない」。山崎氏は、「日本人は中学・高校でかなりの語彙を身につけているので、伝えたい中身さえあれば、英語は上達するはずです」と説く。

企業が採用や昇進の基準にしているTOEICのスコアは、400台から900台と幅がある。どのくらいのレベルだと実践に生かせるのだろうか。アンケートでは、「自分の英語が実践でそこそこ通用している」と答える人の数が、730以上になるとぐんと増える(図7)。730を目標に何とか頑張りたい。

※すべて雑誌掲載当時

(大井明子=文)