建設編

業界トレンドNEWS Vol.161

建設編

合併による経営力強化も。業界再編の機運が高まる建設業界の動向とは?


■震災復興需要で業績回復も、経営力強化は不可欠。技術を生かした新施設建設と海外進出に活路を見いだす

国土交通省の「平成24年度建設投資見通し」によれば、2010年度における日本国内の建設投資額は40.9兆円。ピーク時の1992年度(84.0兆円)に比べ、半分以下に落ち込んだ。一方、10年度における建設業界の就業者数は、ピーク時の97年に比べて27パーセント減。許可業者数はピーク時の97年に比べて17パーセント減だった。建設需要の落ち込みに比べて、就業者・企業数の減少幅は小さい。したがって、業界内の競争はますます激化する傾向にある。

長期にわたり、縮小傾向が続いてきた建設業界。しかし、東日本大震災の復興予算が計上されたため、11年度の建設投資額は対前年度比2.7パーセント増の42.0兆円となる見込み。12年度も45.3兆円と増加する見通しとなっている。震災復興需要により、しばらくの間、建設業界の業績は順調に推移しそうだ。ただし、人手不足によって技能工の単価が上昇しているため、各社の収益を圧迫しているのは懸念材料。これに対応するため、被災三県(岩手県、宮城県、福島県)では、契約後に労務単価が上昇した場合に請負代金を変更する「インフレスライド」の適用が始まっている。

復興需要が一巡した後は、新たな需要増は期待しづらい状況だ。そこで近年では、合併によって経営力の強化を目指す企業も少なくない。例えば、準大手ゼネコンの安藤建設と間組が13年4月に合併し、新会社「安藤・間」として再出発。このように、準大手以下の企業を中心に、業界再編の機運が高まっている。ただし、ゼネコン同士の場合、機能の重複が大きいために合併の効果が得られにくいとも言われる。そこで、12年8月、住宅メーカー大手の大和ハウス工業が準大手ゼネコンのフジタを買収したように、異業種間の合従連衡が広がる可能性もあるだろう。

海外進出も、国内市場の縮小に悩む大手建設会社にとって重要な課題。大手ゼネコンは、過去に高速道路や鉄道などの「土木工事」で大きな損失を出した経験があるため、相対的に、ビルや工場などの「建築工事」に力を入れている。特に目立つのが、海外での生産体制構築を急ぐ日本企業から、工場建設などの案件を受注するケースだ。こうした状況に対応し、各社はアジアなどに現地法人を相次いで設立している。

国内の建設会社にとって、最大の強みは技術力。無線を使って建設機械を遠隔操作する「無人施工技術」、耐震(建物の構造を強化して地震に耐えられるようにすること)・免震(地面と建物の間に免震装置を据え付け、建物に振動が伝わらないようにすること)・制震(屋上や壁に振動を軽減する装置を組み込み、建物の揺れを抑えること)関連の技術は、大きな需要が期待されている。また、新技術を生かした施設の建設に力を入れる企業もある。例えば大林組は、安全な野菜を天候に左右されずに生産可能な「植物工場」を、千葉大学と共同で開発すると発表。初期費用と運用コストを、これまでより3割安くできるとしている。ほかにも、省エネ、土壌浄化、メガソーラー、ITといった分野でも、新たな需要の掘り起こしが進みそうだ。