太陽系で一番高い山は?




突然ですが、日本で一番高い山は?



…もちろん「富士山」(3,776m)ですね。



では世界で一番高い山は?



そう、ヒマラヤ山脈にある「エベレスト」(8,848m)ですね。これも迷うことはないでしょう。



けれども、太陽系で一番高い山は?…と聞かれて答えられる人は数少ないと思います。



そんなわけで、今回は太陽系で一番高い山についてご紹介します。



■太陽系最大の山は火星にあった



太陽系で一番高い山とされているのは、火星にある「オリンポス山」という火山です。



この山は、高さが約27,000m(エベレストのおよそ3倍)、裾野(すその)の直径が約550kmもあります。

これは東京から大阪までがすっぽりハマってしまうほどの大きさです。



また、噴火によってできたくぼみ(カルデラ)ですら、富士山がすっぽりと入ってしまうほどの規模です。



ちなみに、高さの割に裾野(すその)が広いため、地球上の山と比べると、傾斜が緩やかなのが特徴です。



■火星に高い山が存在する理由は?



それにしても、なぜ火星にはこれほど巨大な山が存在するのでしょうか。



これにはいくつかの理由が考えられます。



まず、1つ目の理由として、地球のような活発なプレートの移動がないことが挙げられます。



プレートの移動が起こらないために、常に同じ場所で噴火が起こり、溶岩が噴き出すことになった結果、これほど大きな山になったのではないかと推測されています。



次に2つ目の理由として、地球と比べて火星の重力が小さいことが挙げられます。



重力の大きさは、その惑星の大きさと質量によって決まりますが、火星の場合は、大きさが地球の約半分で質量は地球の10%程度しかないため、重力の大きさも地球の40%程度しかありません。



重力が小さいと、高い山ができやすくなるのですが、このことについては次でもう少し詳しくご説明したいと思います。



■天体は丸くなりたがる 〜重力平衡形状とは?〜



それでは、高い山と重力との関係についてご説明しましょう。



皆さんご存じの通り、地球をはじめとする太陽系の惑星は、すべて球に近い形状をしています。



これはなぜでしょう?



その理由にこそ「重力」が深く関わっています。



なぜなら、重力があることで、その天体の中心部に向かって集まろうとする力が働きます。



この重力と内部の圧力とがつりあい、もっとも安定した形を維持しやすい球形を保とうとします。



これを「重力平衡形状」と言います。



この働きにより、ある一定の高さ以上の山や建物はできないことになります。



地球の場合は、ちょうどエベレストの高さを越えるぐらいが、この重力平衡形状を保てる限界の高さであるため、これ以上の山や建造物を作ろうとしても、球形に押し戻そうとする力が働き、作ることができません。



けれども、火星の場合は地球と比べて重力が小さいため、オリンポス山のような20,000mを越える高い山が作られるわけです。



■オリンポス山が一番高い山ではなくなる?



ここまで、「オリンポス山が太陽系で一番高い山」とご紹介してきましたが、実はそう言い切れ無くなる可能性があります。



…と言っても、決してオリンポス山より高い山がどこかで発見されたというわけではありません。



オリンポス山の近くには、アルシア山、パボニス山、アスクレウス山という3つの巨大な火山があり、オリンポス山を含めて4つの火山を含む高地を「タルシス高地」と言います。



今後は、このタルシス高地全体を1つにまとめて、太陽系最大の火山と見なそうということのようです。



■まとめ



太陽系で一番高い山は、火星にある「オリンポス山」で、その高さはおよそ27,000mでした。



重力平衡形状を保とうとするために、地球上にはエベレストを越えるような高さの山は作られませんが、重力の小さい火星には、エベレストの3倍もあるような巨大な山ができるのですね。



(文/TERA)



●著者プロフィール

TERA。小さいころから自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。