上級役員でもビジネスクラスを利用できない時代になったのか

写真拡大


航空機の「ビジネスクラス」に乗ったことのある人は、どのくらいいるだろう。重要な商用のために会社の費用で座る席。ストレスを感じさせないシート周りに、行き届いたサービス。ファーストクラスほどではないが、一部の人にだけ許された快適さだ。

しかし、大企業の社員やエグゼクティブがこんなぜいたくを許される時代も、もう終わりかもしれない。ウォール・ストリート・ジャーナルは「今やCEOもエコノミークラスは当たり前? 出張費削減のあおり受ける幹部」という記事を掲載し、企業の節約志向の実態を紹介している。


「疲労が回復する」ビジネスクラスはぜいたくすぎ?


記事によれば、企業の出張費は全体としてリーマンショック以前の水準まで戻っている。しかし、出張自体は積極的になっていても、一回あたりの費用は厳しくムダを省く傾向にあるようだ。


ドイツテレコムの子会社の北米部門では、全社員にエコノミークラスの利用を義務付けているという。以前は上級役員が国際線を利用するときは、ビジネスクラスへのアップグレードが与えられていたが、今では飛行時間や出張者の役職を問わず一律エコノミーだ。


別の会社の例では、ビジネスクラスを利用する場合には、それを「正当化」するために出張中の予定をびっしり詰めて、航空運賃や宿泊費を「最大限に活用」しているという。


それにしても、ビジネスとエコノミーとは、どのくらい快適さが違うのか。ビジネスクラスで世界一周をした経験のある海外就職研究家の森山たつを氏に、中の様子を聞いてみた。


「ビジネスとエコノミーでは、疲れがまったく違います。ビジネスは、いわば家のソファーに座って休んでいる感覚。エコノミーに乗っていると疲労が溜まりますが、ビジネスでは逆に疲労が回復したと感じられるほどです」

乗客は、パリッとした服装をしたビジネスマンと、お金持ちらしい高齢者が多い。大多数の乗客が座る足元の狭いエコノミーとは違った余裕のあるスペースには、ゆったりした時間が流れていそうだ。


フライト中も仕事するならビジネスクラスがお勧め


日本企業でも経費削減によって、エコノミーの利用を奨励されたり、ビジネスの利用が制限されていることはあるのだろうか。森山氏は「そうらしいという噂は耳に入っています」という。


「ある日本の大手自動車メーカーでは、かつては一般社員でも7時間以上のフライトはビジネスクラスが許されていたのですが、いまではエコノミーしか使えなくなっているみたいですね」

しかし、仕事の重要性を鑑みれば、何もかもエコノミーというのも、かえってムダを招いてしまうのではないか。その点について森山氏も同感だとし、「時給換算で考えるのが合理的」と指摘する。


ビジネスクラスなら、フライト中でも快適に仕事ができるうえ、降りてすぐにパフォーマンスを最大にできる。フライト時間に当日の労働時間を加え、時給をかけた金額が、ビジネスとエコノミーの差額を上回れば、ビジネスを選択してもムダではないはずということだ。


「フライト中はずっと寝ていて到着当日にも仕事がないなら、エコノミークラスで十分。でも、飛行機で仕事をし、到着当日も大事な仕事があるのなら、ビジネスクラスにするという理由は十分にあると思いますよ」