プノンペン中心部で建設が進む高層ビル。製造業だけでなく、外資のサービス業の進出も増え、オフィスビルの需要も高まっている【撮影/木村文】

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朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住、現地のフリーペーパー編集長を務めた木村文記者が、カンボジアに進出する日系企業団体「カンボジア日本人商工会」にインタビューを敢行。

 カンボジアに進出した日系企業の団体「カンボジア日本人商工会」の正会員が初めて100社を超え、2月現在で101社となった。正会員数では、2010年度末の50社の2倍に増えており、会員の業種も広がっている。
 2月上旬には、100名を超える経団連の視察団がカンボジアを訪れ、フン・セン首相、チャン・プラシット商業相などと会談。電力供給、輸送網などインフラ整備への協力や投資拡大について話し合った。
 新たな製造拠点として、あるいは新興市場として、カンボジアへの関心は高まり続けるのか。カンボジア日本人商工会の会長を務める中野広士氏(三井物産)に話を聞いた。(聞き手・木村文)

”中国リスク”をきっかけにカンボジアに注目する日系企業増加


――カンボジア日本人商工会の正会員数は、34社(2007年)、35社(08年)、45社(09年)、50社(10年)、87社(11年)、そして2013年1月末現在の101社と増え続けています。この傾向は今後も続きますか。

 今年以降も、カンボジアに目を向ける企業数は変わらず増えていくでしょう。

 カンボジアに日系企業の関心が急速に高まったのは、2011年でした。繊維業界を中心に、材料や人件費の高騰など中国を製造拠点とすることのリスクが高まり、「チャイナプラスワン」への事業拡大が本格化しました。

 そのころからカンボジアへの企業視察が増え、我々駐在員もその対応に追われるようになりました。カンボジアの経済や社会について何回も説明を求められるので、駐在員のプレゼンの腕はずいぶん上がったはずです。カンボジアには日、米、韓などなじみのある一文字の略称がないので、当地を訪問することを「来ボジア」という造語にしましたが、来ボジア数は11年以降、現在も増え続けています。

 企業視察は、当初は繊維関係が多かったのですが、だんだんと他の製造業や、サービス業など業種の幅が広がってきました。また最近では、民間企業だけではなく、政府系の団体やシンクタンクの来方が目立ちます。カンボジアの経済活動を本格的に調査するニーズが高まったということだと思います。

――カンボジア政府は、外国直接投資を国の経済成長の原動力と位置づけ、外資に開放的な政策をとっています。外国企業の中でも、日系企業には何を期待していると考えますか。

 カンボジア政府の最大の関心は雇用創出である、ということです。総人口のうち30歳以下が7割を占めるこの国では、まず若い人々の雇用を確保しなければ社会は安定しません。国の産業構造を改革する政策よりも、まず労働政策が最優先なのです。

 さらに、この国はポル・ポト時代や長い内戦で多くの人材を失いました。その後遺症は今も社会に根深く、企業に対しても、技術移転や人材育成の効果が強く期待されているのを感じます。

 昨年12月に、日本の「イオン」が、プノンペンでイオンモールの起工式を行った際も、あいさつに立ったフン・セン首相は、「この近代的なショッピングモールが、カンボジアの人々に直接的、間接的に多くの仕事をもたらすことを強く信じている」と、強調しました。

 産業のすそ野を広げ、雇用を創出する日系企業への期待は高いと言えます。

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