12月15日に釜石で高校生たちが行ったイベント「キャンドルナイト」の」ひとこま。

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■「最近のアニメは駄目ですね」

釜石商工高2年生の川畑勇真さん。将来の志望はアニメーター。きっかけは「新世紀エヴァンゲリオン」。しかし同作のテレビ初回放映時(1995[平成7]年)には彼はまだ生まれていない。川畑さん、どのエヴァですか。

「たしか『序』だったと思います」

2007年公開の劇場公開アニメーション映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」のことだ。このとき、川畑さんは11歳。

「観て、すげえなと思って。それでアニメも見だして。内容は難しいんですけど、なんていうんだろう、14歳とかそこらへんの、自分と同じぐらいの人が戦ってるのを見て、こんなこと考えるのはすごいと思って」

それは絵だけではなく、物語とかも含めてということですね。

「内容です。最近のアニメは駄目ですね、内容がなくなって。(エヴァは)絵もいいし、内容もいいしっていうのが、すごくて」

最近のアニメが駄目というのは、ライトノベルから原作をもらってばかりでとか、そういう点が?

「というか……なんだろうな、絵だけで稼ごうとしてるやつとか許せなくて。クソ萌ブタどもが群がってるの、すごい許せないんですよ、最近のアニメは。やっぱり内容が大事で、観ていて楽しいというか、自分も影響されていくものが、ほんとうに面白いと思うんです」

川畑さん、アニメーターの仕事を手に入れるためには、何をする必要があると思いますか。

「誰も思いつかないようなことです。想像力というか」

どうやって手に入れますか。

「いろんなものを見て、いろんな人のいいとこを取り込んでいくみたいな。どんどん。マンガとか、アニメとか観て、『この人のこういうところは、すごいいい』とか、そういうことを」

想像力を手に入れるためには、釜石商工を出たあと、どうするといいと思いますか。

「『TOMODACHI〜』でアメリカ行ったときに、ピクサーで働いている日本人の人の話を聞く機会があったんです。その人にいろいろ聞いたんです。夢はどんなまわり道しても諦めちゃ駄目で、別にアニメーションの学校に入る必要はないみたいなことを。あと、(アニメーション制作)会社に入って、自分の好きな人の下で学んでいくのもいいと言ってました」

それを聞いて、川畑さんはどういう作戦で行こうと思っていますか。

「高校を出たあとは、好きなことをしながら情報を集めていって、何歳でもいいから最終的になれればいいかなと思っています」

どこかのアニメ制作会社に入るということを考えていますか。

「まあ、それもいいですけど、最終的にはフリーになった方がいいかなと思って。一番いいのは、フリーでやって、誰かに見てもらって依頼が来るというのがいいと思います。アニメに合った絵が描けるのであれば」

この話を聞いてから2カ月後、こちらは釜石の幼稚園児・保育園児180人が描いた絵を Facebook の上で見ることになる。そのきっかけをつくった高校生に話を聞こう。

■幼稚園の子どもたちに英語を教えてみたい

小野寺未来(おのでら・みく)さんは、釜石商工高の2年生。将来の志望は幼稚園の先生だ。

「最初は保育士になりたいと思ってたけど、やっぱ保育士って面倒見るだけの仕事であって、幼稚園っていうのは、子どもに何かしら教えるっていうのがあるから、ちょっとそっちにも興味が出始めて、幼稚園の先生になりたいなって思いました」

きっかけは何ですか。

「弟を担任してた先生が、すごいいい人で。わたしもこの先生みたくなりたいと思って、自分も絶対そっち系に進みたいって、小学校4年生くらいからずっと思っていたんです。それで、どこかの大学に行って、資格を取って、釜石に帰って来て幼稚園の先生をやろうと思ってたんですけど」

「TOMODACHIサマー2012 ソフトバンク・リーダーシップ・プログラム」に参加し、小野寺さんは合州国で幼児教育の仕事をしている人に会った。

「その人は日本語もしゃべれて、英語もしゃべれて、2つのことばを子どもたちに教えるみたいな仕事をしていて。日本に帰って来て、英語専門の幼稚園で働くみたいな夢を持った人で。わたしもアメリカに住んでみたいなと思ったんです。語学を身に付けて、釜石に帰って来て、自分も幼稚園の子どもたちに英語を教えてみたいなって思って」

浦島志奈さんの突っ込みが再開される。「未来は極力地元にいたい人です。どこにも出たくない人。未来の口から『アメリカに行きたい』って出るの、けっこうすごいよね」。

小野寺「もともと『TOMODACHI〜』に応募する気はなくて、志奈に『行こうよ、楽しいよ』みたいなこと言われて……」

浦島「『タダで行けんだからいいじゃん』って言ったんですよ(笑)」

小野寺「そんな軽いノリで行ったアメリカで出合った人たちが、すごい影響を与えてくれましたね」

幼稚園の先生になるためには、国家資格である「教員免許状」のうち「幼稚園教諭普通免許状」を取得しなければならない。一般的な方法は、文部科学大臣の認定を受けた大学・短大で所定の単位を修得するというものだ。小野寺さんは、行こうと考えている学校がありますか。

「今、考えているのは、盛岡短期大学です。商工から推薦で毎年だいたい1人行っているところなんです。来年そこの座を狙ってるのがわたしで(笑)。だれも来なかったらたぶん推薦で行けるんだけど、だれかほかに来たら、たぶん校内推薦で落とされる可能性が……」

盛岡短大以外で考えているところはありますか。

「もしそこがダメだったら一関修紅。ほんとは高校も一関修紅に行きたかったけれど、経済的に高校から私立入られるのはきついって言われて、だから諦めて商工にして。進学に関しては、うちはお母さんが協力的で。お母さんこっちの人じゃないんですよ。福島の人だから、福島のほうの大学とかをけっこう知ってて。福島のいろんな大学とか短大を探してくれて。けっこう、うちの親って、変に知ってる、世の中のこと」

お母さんのお仕事は何ですか。

「ヘルパーです。なんか物知りなんです。家計が楽になる法律のこととか。そういうこと、一緒にお出かけしたときなんかよく話してるので、自分的にも知識はついてますね」

小野寺さん、幼稚園の先生の職は釜石市内で手に入れられそうですか。

「けっこう、そこが今、上がってきてる気がする。この子も妊婦、この子も妊婦、この人も妊婦ってかんじで」

釜石は赤ちゃんブーム?

「たぶんきてると思う。今年多いと思いますよ、赤ちゃん(笑)」

ベビーブームが来る前に、小野寺さんと仲間たちは、ここ釜石の町で"1日だけの幼稚園"を運営した。昨年12月15日、釜石市内の公園の一角を借り、そのイベントは行われた。

(明日に続く)

(文=オンライン編集部・石井伸介)