取材・文: 岩屋ミカエル  写真: 三宅英正  英語翻訳: Oilman

(第1回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正があらためて語るこれまでの歩み。田舎のヤンキー文化から『egg』創刊まで

(第2回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正が語る。外国人コンプレックスから脱却できない日本人と中国文化のリアル

(第3回/全4回)【インタビュー】米原康正「日本人が手放してしまったギャル・裏原カルチャーが、中華圏発のモノに?」また「ギャルブランドが支えるハイファッションメディアの自己矛盾」

- 『Weibo』についてヨネちゃんが可能性を感じている点があれば教えてください。


Weibo

中国で僕のことを知っている人は、主に80后、90后と呼ばれる若い人たち、その中でも新しい人たちだと思うんだ。その新しい人たちがいまなにを考えていて、どういうものが好きなのかというのが、マーケティング的に全部わかるのがすごいと思う。『Weibo』はいまどの言葉が流行っているのか、ベスト100くらいまで出るんだよね。そういう意味で中国を理解すための辞書みたいなモノ。尖閣問題のときも日本のテレビを見ると中国人が全員「日本に帰れ!」って言っているようにしか見えないけど、『Weibo』を見たら「ヨネちゃん大丈夫ですか?ごめんなさい、中国人暴れちゃって…」ってかなりの数の中国人が言っていた。地に足がついた中国というものをインターネットで理解できるから、それを見ないこと自体がもったいないと思う。

『Weibo』だけじゃなくて、台湾とか香港の人たちって『Facebook』をすごく上手に使っているよね。向こうはいろいろな人たちとつながるためにSNSを使うんだけど、日本人の使い方は『mixi (ミクシー)』的な使い方で、知っている人たちだけのコミュニティにしたがる。でもそこは日本人が外に広がらないで中にこもるように、意識的に日本の教育にそうさせられてきたと思うんだけどね。“自分撮り”とかも中国、台湾、香港の人たちの方が得意だもんね。中国人の女の子たちの自分アピールはすごいからね。

- 日本では自分アピールは良く思われない風潮がありますよね。




自分たちの個性をアピールして人に認められてなんぼのワールドワイドな世の中に生きているのに、日本のヤンキー文化は出る釘は打たれて強い人しか出てこられないようにしているね。しかもその強い人というのは、個性が強いとかじゃなくて、腕力的にキャラとして強い人しか出てこない。日本は本当に才能がある人たちを全部潰している気がしてならない。本当は内にこもっている人ほどスゴいモノを作れたりするけど、そのヤンキー文化でそういう人たちはいじめられやすい。本来オタクというのは物事をすごく追求していて、ひとつのモノに詳しい人間のことを指すと思うんだけど、それがいつからか「お金を使う人」という定義に書き換えられちゃった。例えばうるさ型のマスターがやっているような街のコーヒー専門店とかは、海外の人たちはすごく認めている。実はあんな手間暇がかかることをやっているのは日本だけだからね。

本来ファッションというのも、その国の歴史があって、文化があって、そしてブランドがある。という流れがはずなのに、日本のファッションをやっている人たちは「なんのために洋服を着るのか?」とか「なんのためにオシャレをするのか?」という本質がないまま、いまこれが流行っているということだけを追っかけているからおかしい。

例えばHYSTERIC GLAMOUR (ヒステリックグラマー) はワールドワイドにロックの流れを形にしてくれたブランドなわけじゃないですか。本来ファッションジャーナリズムが大切にしなきゃいけないのは、そういうイメージをきちんと守り続けているブランドやショップだよ。きちんとストーリーがあるところを、ストーリーとして語ってあげて、そこで人がモノを買うようにしていかなきゃいけない。メディアサイドがそういうストーリーを面倒くさがっているんだよね。

2/2ページ: 『韓国が「江南スタイル」ならこっちは「カワイイ・スタイル」で!』




- 最後に、青文字系や原宿カワイイのカルチャーについて、今後どう関わっていく予定ですか?

海外をいろいろ回っていてすごく考えるのが、先述したように「日本っぽさ」とか「裏原っぽさ」みたいな部分がもう書き換えられていること。ギャル系の可愛さみたいな部分はもう中国の子たちの文化になっちゃっているし、そこには日本のギャル系のかわいさはなくなっちゃっている。

そう考えたときに、もしかすると原宿的な「カワイイ」というのはマネできないのでは?と思って。本来、日本人の体が小さいというのは劣等感だったりするわけだけど、あの原宿的な「カワイイ」は日本人の身体的な特徴を最大限にいかしたスタイルだよね。僕は自分の似合うことを最大限にいかすことがファッションだと思っているから、日本の女の子のかわいさをいかすことで日本ファッションとして世界に勝負していくことができると思ってる。そしてこれからは世界に向けて日本人の「カワイイ」を大プレゼンしていくことが必要なのではと。そこには全力をあげて関わっていこうって思っていて、これがなくなると僕はちょっと自信ない…このカルチャーを海外にとられちゃうと、後ろにもうなにも控えてない気がするので。だからこれをとられちゃったら日本は終わっちゃうくらいの危機感を持ちつつやっている。韓国が「江南スタイル」ならこっちは「カワイイ・スタイル」で!


原宿女子 | Harajukujoshi

でも日本人は極端だから、「カワイイ」が流行ったらもう全部「カワイイ」。「セクシー」が流行ったら全部「セクシー」みたいに流れちゃう。でも似合う人は似合う人のまま残っていればいいと思う。「カワイイ」の似合わない人まで「カワイイ」をやりだすと、「セクシー」が終わっちゃったみたいに、そこで「カワイイ」が終わっちゃうから。だからちょっと分類していく作業が必要だね。「カワイイ・カルチャー」と「セクシー・カルチャー」というのは決して一緒のモノを好きな人たちじゃなくても良いわけなので。だから逆に「セクシーも残さないと!」という動きもしようとしている。

日本は「一緒のモノを好きじゃないと友達じゃない」みたいな考え方があるけど、価値観が違ったって友達になれるということをそろそろはじめないと。日本は価値観が違うということを否定ポイントにしちゃうけど、そこは決して争うポイントではない。だから日本人も中国人も友達になれるんだよ。こんな貧富の差が激しくなっているのにみんなの価値観が真ん中に集まったフリをしているイメージで日本は動かされているから、そこをひとつずつ解決していかないといまの状況は変わらないような気もする。いろんな価値観があって、いろんなモノが共存して成り立っている世の中というのが僕の理想なんだよね。

 


(第1回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正があらためて語るこれまでの歩み。田舎のヤンキー文化から『egg』創刊まで

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米原康正 (よねはら・やすまさ) 編集者、クリエイティブディレクター、フォトグラファー、DJ。
世界で唯一チェキをメイン機材とするアーティストとして、雑誌、CDジャケット、ファッションカタログなどで幅広く活躍。中華圏での人気が高く、中国版Twitterである「新浪微博」でのフォロワーが71万人超、シューティングとDJをセットにしたイベントでアジアを賑わせている。世界のストリート・シーンで注目される、ジャパニーズ・カルチャーを作品だけでなく自分の言葉で語れる日本人アーティストの一人。

 

 

 

 

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