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企業理念という大それたものを考えるようになった。
昔なら社員と飯を食いながらVVの夢を目を輝かせながら語ればよかったものだが、今のように大所帯になってしまうとそうもいかない。

過去にキーワード的に使っていた言葉を列挙すると
「本屋には夢も希望もある」
とか、

「マーケテイングよ、さようなら」
とか

「新しい消費を創造しよう」
とか

「ハードよりソフト・売り場の編集こそがVVの命」
とか

「売り場に魔法を満たそう」
とか

「名古屋ローカルの奇蹟と言われている空間を東京に」
とか、直感的に口からでまかせみたいにいろいろ言ってきた。

主に自分を鼓舞するために使っていた言葉だったので、それなりのパトスがあり迫力を持ちえたと今にして思う。マイナーゆえの逆説という矜持もあった。これらのことは初期の社員とは充分、共有できてきたと思っている。その土台の上に今のVVは存在している。

ただ、社員・バイト君を合わせると1500人を超える人数になってしまった現状のVVを考えると、いままで言ってきたキーワード・キャッチフレーズでは弱いのかなと思うこのごろである。大多数の人間が得心のいく理念・キャッチフレーズをつくりだすことはなかなか困難な技である。

いろんな会社の企業理念をインターネットで閲覧してみても、僕自身はいいなと思うが社内的には受けないだろうなと思うものばかりである。オヤジになったせいか、CSR(企業の社会的責任)を取り込んだ理念をどうしても考えてしまう。どうも肩肘を張るといい考えが浮かばないらしい。つくづく直感人間だなと反省する。理性的にはなれないらしい。それに、メッセージなんて伝える相手が多くなればなるほどつまんないものができあがるなどと自己弁護したくなる。
社会に高らかに発信できなくても、優れて社内的ではあるが、多くの社員が奮い立ち、自己の未来の夢を託すことができて、それがそのまま経営の強みに転換できるようなフレーズを探している。どこかに落ちていないものか。

先日、タワーレコードの方から手紙を戴く機会があって、そのレター・ヘッドに書いてある文字に目を奪われた。それにはこう書いてあった。「NO MUSIC NO LIFE」。いいなあこういうの。「NO TOWER NO LIFE」だったら感心しなかっただろう。従って、「NO VILLAGE VANGUARD NO LIFE」は没。レター・ヘッドの片隅に小さく書いてみたいけど。先代の社長は「タワーは店内空間に音楽の蟻地獄を創り続ける」と仰っていた。

VVもエンタメの蟻地獄を創り続けている。同じレコード業界にHMVという会社があるが、これは「His Masters Voice]の略語であるのは有名であるらしい。恥ずかしながら、最近知った。この知識を手に入れたときは有頂天になって、役員、社員に吹聴したところ、皆知っていて、社長の権威は著しく毀損された。悔しいので改めてここで吹聴する。
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■プロフィール■ 

菊地敬一
ヴィレッジヴァンガード創業者。

1948年北海道生まれ。
賞罰共になし。
原付免許、普通自動車免許、珠算検定6級 保持。
犯歴前科共になし。

大学卒業後、書店勤めを経て、39歳で独立。
名古屋で、遊べる本屋『ヴィレッジヴァンガード』を創業。
独自のセレクトとPOP、ディスプレイで
「変な本屋or雑貨屋」としての地位を確立し,
396店舗を展開するに至る。