その「ユーロ」に目をつけていたとは、正直「すごい」と思った。

筆者なら、崩壊するかもしれなかった「ユーロ」の関係国に投資する気持ちにはなれなかっただろう。

やはり成績優秀者は、自分なりの視点をもって投資していることが分かった。

また今回は、昨年7-8月において日本と中国の学生による団体対抗戦も実施され、そのレースで中国1位を獲得した上海・同済大学のチーム「チ・チェン・ビン・シュエ」(騰落率11.86%)のメンバー3人も来日し、表彰式に参加した。

3人は同大学で日本語を専攻している。

メンバーの曹雪さんは「大学の先生に勧められて、夏休みを利用してやってみました。

日本語だけでなく、経済の勉強にもなり、とても面白かったです。

投資にも興味があるので、今後ももっと学びたいです」と日本語でコメントしてくれた。

現役女子大生のフレッシュなコメントを聞き、「自分も負けられない」と、ゲーム参加への思いを新たにすることができた。

表彰式では、『世界の投信王』の開発担当者である日興アセットマネジメントの汐見拓哉氏が2012年の総括を行った。

運用会社の第一線にいる担当者の言葉。

成績優秀者へのインタビューと並んで、聞き逃せない言葉の数々だ。

そこには、成績優秀者の言葉に負けずとも劣らない”極意”があるに違いない。

一言一句聞き漏らすまいとメモをした。

汐見氏はまず、「夏場にギリシャの再選挙で緊縮財政派が勝利して金融危機の収まりが期待され、その後もアメリカでの量的緩和などが行われたことで株価が上昇し、全体としては”終わりよければすべてよし”といった1年だった」と振り返った。

その上で、「これまで”先進国はローリスク/ローリターン、新興国はハイリスク/ハイリターン”とされ、実際にそういう動きを見せていたが、2012年はその差がなくなってきたのが大きな特徴だった。

G20という、新興国も含めて世界経済を議論しなければならない時代の到来が顕在化した」と、投資の世界でも、新興国が先進国を着実にキャッチアップしている現実について述べた。

なるほど、新興国といえば、投資の世界では、”ハイリスク/ハイリターン”が常識だったはずだ。

それが、”ローリスク/ローリターン”の先進国と差があまりなくなってきているという。

これも、今度投資をする上で心に刻んでおくべき”極意”に違いない。

また、汐見氏は『世界の投信王』の35の投資対象国・地域のリターンランキングを示し、「2011年の(騰落率)上位国と2012年の(騰落率)上位国に逆転現象が起きているのも面白い」と指摘した。

「2012年の(騰落率)上位国であるトルコやエジプト、フィリピンあたりは60%〜80%の高い値上がりの中で為替のリターンが20%くらい含まれているのも注目点。

国を選ぶときに為替の方向性も大きなポイントだったと言える」とし、資産運用をする上で、株価だけでなく為替の動きもチェックポイントであることを示した。

確かに、変動相場制の下では、”為替”の動きも大きなファクターだ。

2012年の騰落率上位国であったトルコやエジプトは、為替のリターンが20%くらい含まれていたのか…このあたりは2013年のレースでも参考になるに違いない。

これも”極意”のリストに加えておこう。

さらに、真打が登場だ。

日興アセットマネジメントのCIO-ジャパン 辻村裕樹氏が、「2013年に好成績を上げるヒント」を披露してくれたのだ。

運用会社のCIO(最高投資責任者)が、投資の”ヒント”をそのまま教えてくれるなんて、なかなかない機会。

『世界の投信王』というゲームの”ヒント”といえ、本当の投資にも役立つに違いない。

メモ、メモ…。