フジテレビ入りしてのプロデビューが濃厚な村田諒太。世界挑戦は最速で3戦目で可能となるが……

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2月2日、ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級の金メダリスト、村田諒太(27歳)がプロ転向の意思を正式に表明した。

村田はかねてプロ転向には否定的で、五輪直後にも契約金1億円を提示した協栄ジムのオファーを拒否し、「プロ入りは9割9分5厘ない」と語っていたのだが……。ある業界関係者は村田の心変わりをこう説明する。

「仕掛けたのは大手広告代理店。実は昨秋から、彼らは村田側に接触を図っていたんです。当初、プロ入りに難色を示していた村田の気持ちを動かしたのはフジテレビの社員として身分を保障し、引退後の面倒も見るという条件提示だったようです」

それまで村田がプロ転向を否定していた最大の理由は家族(夫人と1男)の存在だといわれている。確かに、金メダリストとなった彼にとって、現在の東洋大学職員という安定した立場をなげうってまでプロのリングに上がるのはリスキーなことだ。

スポーツ紙ボクシング担当記者もうなずく。

「彼は世界トップのプロ選手の実力や、そうした選手と戦うことがどれほど危険かを理解している。引退後に後遺症が残る可能性だって無視できない。ただ、それでも彼は強い選手と戦いたいという闘争本能を捨てきれずにいた。その証拠に、引退をほのめかしたり、全日本社会人選手権出場への意欲を見せたり、五輪後のはっきりしない態度があった。そんなところに、引退後の保障を含めた好条件が提示されたのです。効かないわけがありませんよ」

状況は流動的だが、現在、村田のプロ転向プランは、フジテレビと縁の深い三迫(みさこ)ジム入りを軸に、最終調整段階に入っているという。

そこで気になるのは、アマのリングで頂点に立った彼が、プロのリングでも頂点に立てるか否か。

プロとアマは同じボクシングでもルールやジャッジの基準もまったく違うため、いくら金メダリストといえども、「現状では日本チャンピオンにも勝てないだろう」とみるボクシング関係者はひとりやふたりではないとか。

「ただ、村田のパンチ力、テクニック、スピードは層の厚いプロのミドル級でも即通用するレベル。問題は12R戦うだけのスタミナです。結局、プロのボクシングにいかに短期間で慣れることができるか。本人も言っているようにのびしろはある。ピークを30代で迎えるのも、今や世界のボクシングの常識になっているだけに、さらに成長すれば王者になれる可能性は十分にある」(スポーツ紙記者)

一部には「最速で世界挑戦が可能になる3戦目で世界王者に!」といった煽り気味の報道も出ているが……。

「10戦目くらいで世界挑戦をするのが現実的。そして、そのときに標的をどこにするかで彼の選手としての価値は決まる。亀田興毅のように巧みなマッチメイクで強豪とはいえない王者ばかり倒して3階級制覇を成し遂げても、ボクシングファンはもちろん、今や世間も認めない。もちろん、狙い目の“穴王者”を倒して世界チャンピオンにというなら可能性はグッと高くなるかもしれないけど、そんなこと、村田本人も望んでいないのでは」(某ジム関係者)

ちなみに現在、世界のミドル級を席巻しているのは、現WBA同級王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン・30歳)と、現WBC同級王者のセルヒオ・マルチネス(アルゼンチン・37歳)のふたり。

「そうした本物の王者に勝ってこそ、金メダルを超える価値がある」(前出・スポーツ紙記者)

金メダル以上の輝きを求めて、村田が新たな一歩を踏み出す。

(取材・文/コバタカヒト)