PREP法/SDS法/DESC法

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自分に力が100あっても、他者から70にしか見られなければ、70の評価にしかならない。しかし、能力が100あるのなら、100あるように見せたいもの。本来の実力をアピールできる報・連・相の秘訣とは何か。

■簡潔な連絡か、じっくりと相談か

「一生懸命なのはわかるが、もっと簡潔に報告してくれないか」。上司からこんな苦言を呈されたことのある人は少なくないだろう。

報・連・相のうち、かなりの割合を占めるのが「話す」という行為だ。報告は単なる事例の羅列では意味がない。状況に応じて、言いたいことを論理的に整理して伝えることが大切だ。

ここでは、目的別に4つの論理的な話し方を紹介する。

まず、PREP法。Point(ポイント)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(ポイント)の順にまとめることで、話の要点を明確にする。最初に報告のポイントを伝え、次にその理由を述べる。わかりやすくするために具体例を挙げ、最後に念押しで再度ポイントを告げてまとめる。

例えば、

P「今日は社内の個人情報保護運動について報告します」

R「個人情報保護法の制定以来、個人情報の厳格な管理が求められています」

E「ところが、顧客名簿が会議室に置きっ放しになっているなど、先月だけでも個人情報の管理ミスが3件も発生しています。このままでは、外部への情報流出など重大な問題に発展しかねません」

P「そこで各部門長を通じて個人情報保護の徹底を図ってもらいたいと思います」

これなら、「細かい話はいいから結論を先に言え」と怒られることもない。チーム内会議や中間報告などで活躍する話し方だ。

一方、プレゼンテーションのように時間をじっくりかけて相手を説得したい場合などに効果的なのがSDS法である。

Summary (全体)、Details(詳細)、Summary (全体)の順序で展開する話し方である。

このスキルを生かした典型的な例がテレビのニュース番組だ。初めに今日のニュース項目を紹介(全体)、次に個々のニュースを詳しく伝える(詳細)。そして最後に今日のニュース項目を振り返る(全体)。

最初のSは、話す内容の概要や全体の流れを示す。次のDでは、細かい情報や課題などをじっくり説明する。最後のSでは、これまでに述べてきた内容をまとめ、結論として提示する。

詳細度の違いこそあれ、SDSと3回も同じことを伝えていることがわかる。ポイントはこの繰り返しにある。PREP法と違って手っ取り早くはないが、時間をかけて相手を説得する場面で効果を発揮する。

また、会議に攻撃的・高圧的なメンバーがいると、なかなか言いたいことが言えなくなる。さらに、何かを決定しなければならないような重要会議では、意見が対立することもよくある。

このような場でも、きちんと自分の意見を伝える話し方がある。ポイントは、他のメンバーの権利を侵さない範囲で、自分の権利のために筋を通すことだ。

攻撃的になっても、服従的になってもいけない。相手の立場や意見に理解を示しつつ、自分の意見を率直に言うのである。これが上手なコミュニケーションの姿勢であり、どのような意見対立があっても良好な人間関係を維持できるのだ。

このような場で自分の意見をはっきり述べることができるのがDESC法だ。

Describe(状況・事実の描写)、Express(意見)、Suggest(提案する)、Consequence(結論の提示)の順序でまとめる話し方で、事実や現状を基に、冷静に自分の意見を伝えることができる。

相手から「現状では、うちの部門も手いっぱいで新店舗に責任者を送るわけにはいかない。出店は棚上げしたほうがいいんじゃないか」と言われた場合、まず相手の主張を事実として肯定するところから始める。

D「ええ、おっしゃるとおり、現状のままでは新店舗を見る人材が社内では確保できません。新店舗の運営をアウトソーシングした場合、経費が発生します。その経費は次のようになります」

次に自分の意見を述べる。

E「○○の条件で試算したところ、アウトソーシングの費用は○○円です。しかし、この地域に新規出店した場合の増収見通しは○○円です。したがって、アウトソーシングの費用を差し引いても○○円の利益が期待できます」

このように自分の意見を主張したうえで、提案に持ち込む。

S「そこで提案なのですが、この機会にアウトソーシングしてでも新規出店してはいかがでしょうか。エリアとしても集客は申し分ない物件でもあります」

そして最後に提案を実行すればどのようなメリットがあるのかを訴えます。

C「運営をアウトソーシングすれば、問題なく新規出店できます。当社の中期計画の柱である収益アップの目標にも貢献します」

このように、相手の意見をひっくり返したり、否定したりするのではなく、相手の示した懸念、課題を認め、そのうえで解決策を示しながら、相手の利益や会社の利益につなげていく。こうすれば賛同を得られるはずだ。

■正義を通すと破壊が起きる

コミュニケーションは頻度が重要であることは、冒頭で述べたとおりだ。そんなに機会があるだろうか、と悩む必要はない。コミュニケーションの場は会議やプレゼンだけではない。エレベーターや廊下など至るところにチャンスはある。

歩きながら手短に言葉を交わすだけでもいいのだ。この積み重ねが味方をつくることになる。このテクニックがRBWA法だ。歩きながらの報告(Report by walking around)という英語の頭文字を取ったものである。

例えばエレベーターの中で部長に会ったら、すかさず、

「部長、例の件ですけどね、うまくいきそうですよ。5000万ぐらい入りそうです」

「そうか、よくやったな」

「頑張ります」

これだけだ。わずか数十秒。本当に二言三言のやり取りだが、機会を見つけては進行状況を報告するのである。

せっかく部長と同じエレベーターに乗っているのに口も開かず無視では、関係は悪化するばかり。「会わないと合わなくなる」の法則を思い出そう。会えば会うほど、話せば話すほど好かれ、認められるのだ。

このRBWA法は、接触の頻度を高めて相手との関係を深めるときに役立つ。業務に限らず、プライベートな会話にもうってつけだ。

注意すべきは、相手の出した結論に従うというのが、相談の大前提だということ。人間関係づくりの一環としての相談は、子供の進路などの重要事項ではなく、週末に行くレストランの相談など、どうでもいいことに限定すべきだ。

ほかにも、報・連・相には、さまざまなテクニックが使える。

まず、覚えておきたいのが、「正義を通すと破壊が起きる」。

正論を言うとか正義を通すことは、原則として悪いことではない。が、状況によっては破壊が起こる。

部の忘年会で、店のBGMに気付いた部長が「これ、ブラームスだな、俺、大好きなんだよ」と、あなたに話しかけてきた。クラシックに詳しいあなたは、すかさず「部長、これモーツァルトですよ」。

こうばっさりやってしまっては身もふたもない。しかもみんながそろっている前で恥をかかせてしまった。これは最悪のコミュニケーション例だ。

報・連・相の中でも辛いのは、失敗の報告だ。しかし、頻繁に接触して報・連・相を尽くし、上司のアドバイスに従って実行した結果の失敗であれば、責任は上司にあり、あまり問題にならないだろう。

自分の力不足や言われたとおりに実行できなかった場合は逃げようがないが、それでも急激な円高や原料費の高騰など、非常事態が絡んでいるなら、そういうことも大義名分になるかもしれない。

残念ながら失敗を隠す効果的なテクニックなどはないが、それでも日頃の頻繁な接触を通じて報・連・相を怠っていなかったかどうかで、相手の反応は大きく違うはずだ。

(インサイトラーニング代表 箱田忠昭 構成=斎藤栄一郎)