テレビで日々報道されている女子柔道日本代表の暴力・パワハラ問題。「体罰」という点が大きくクローズアップされ、園田隆二前監督が一方的に悪者扱いされているが、本当のところはどうなのだろうか。

この問題、実際にはロンドン五輪後にすでに発覚していながら、全日本柔道連盟が園田前監督の続投を決定。しかし、15名の選手が連名でJOC(日本オリンピック委員会)に前監督を告発し、体制の見直しを訴えると状況は一変。連盟やJOCが問題解決を密室の中で図ろうとしたことも相まって事態は問題化し、1月31日には園田前監督が自ら暴力行為の事実を認めて辞意を表明。2月1日、全日本柔道連盟(全柔連)が進退伺を受理して辞任が決まった。

園田氏は現役時代に1993年世界選手権60kg級で優勝したものの、五輪には一度も選出されず、2004年まで現役を続行。その後、全日本女子コーチを経て、監督に昇格した。

「日本柔道界では軽量級の選手が監督になるのは珍しく、ハンディがあるなかでの抜擢だったが、指導法は非常にロジカルで、シャトルランなどの科学的トレーニングも取り入れていた」とスポーツ紙柔道担当記者は評価する。さらに、一般紙の柔道担当記者も「練習時間を区切り、感覚で教えるのではなく、この練習にはこういう意味があるんだと説明しながら細かく指導していた印象がある」と異口同音に、彼の指導はロジカルで科学的だったと話す。

「事件後、テレビでは指導中に蹴ったりする映像も流れたが、根性論者では決してない。ただ、世界というレベルでは最後は強い気持ちが勝負を決める。なので、その部分では追い込んだシーンはあっただろうが、それはロジカルな練習を積み重ねた上でのこと。長く取材をしているが、ひどい暴力を振るっているシーンは見たことがない」と記者は語る。

世間一般では暴力的なイメージだが、彼の人柄はどうだったのか?

「選手のことを第一に考える監督でした。合宿中にも自腹で食事会を開いたり、LINEのグループトークで情報交換をしたり、懇親のためにボウリング大会を開いたり。その後に撮ったというプリクラを見せてもらったことがあるんですが、みんなすごい笑顔で。この中の誰かが……と思うと監督もショックだったと思います」(前出・一般紙記者)

ゴタゴタを乗り越え、選手たちにはリオデジャネイロ五輪で大輪の花を咲かせてほしいものだ。

■週刊プレイボーイ8号「女子柔道暴力問題報道の違和感」より