独立記念塔の前を通り過ぎるシアヌーク前国王の棺【撮影/木村文】

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朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住、現地のフリーペーパー編集長を務めた木村文記者が、シアヌーク前国王の葬儀についてレポートします。

3カ月間、王宮前広場には花と線香の煙が

 昨年10月15日に亡くなったカンボジアのシアヌーク前国王の葬儀が、2月1日から4日にかけて首都プノンペンで行なわれた。4日には、日本の秋篠宮殿下を含む要人が葬儀に訪れたので、報道でその様子が各国に伝えられたと思う。

 療養先の中国・北京で亡くなった前国王の遺体は、10月17日にカンボジアに戻ってから、王宮内に安置されていた。王宮はその間、国内外からさまざまな人々が弔問に訪れた。王宮内には特別な手続きがないと入れないが、王宮外で献花するために訪れる国民も途切れることなく、3カ月の間、王宮前広場には花と線香の煙が絶えることはなかった。

 2月1日、王宮のご遺体を、特設された火葬場へと移動する儀式が行なわれた。特設された火葬場は、王宮にほど近い場所だが、前国王の棺は、葬列とともに市内の独立記念塔などをめぐり、5時間あまりをかけて火葬場に安置された。

 長い弔いのクライマックスともいえるこの葬列を一目見ようと1日午前、私も独立記念塔の前で前国王の棺を待った。カンボジアの喪服は、上が白、下が黒と決まっている。葬列が通る4時間前には、手にハスの花や線香を持った喪服の数千人の人々がもう記念塔の周囲に人垣を作っていた。

 ここで人気を博していたのが、前国王のブロマイド写真だ。だれが、どのように用意したのかは分からないが、若き前国王夫妻とシハモニ現国王の家族写真や、穏やかにほほ笑む晩年の前国王、女優のように美しい妻・モニク妃とのツーショットなど、数種類の写真を無料で配布していた。

 葬列を待つ人垣では、お互いに手にした写真を見せ合いながら、しばしシアヌーク前国王に思いをはせる姿がみられた。お年寄りが子供たちに思い出話を語るかのような姿もあった。

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