イタリアでインターンシップを経験し「海外から見た日本」を学ぶ

写真拡大

ハイパー学生のアタマの中 Vol.17

早稲田大学 小田 渚さん

海外でのインターンシップを経験した小田さんが感じた仕事観とは?


■人と違う経験をしたことが、自分にとってプラスだった

父親の仕事の都合で、小学校の6年間を南アフリカ共和国で過ごしました。私が通ったのは私立の女子校。もともと、南アフリカは移民の国ということもあり、クラスには世界中からいろいろな国の人が集まっていました。友達の家に遊びに行くと、家庭ごとに全然違うんです。夜ご飯をごちそうになるとき、「ここの家では、手でカレーを食べるのか」なんて(笑)。知らないことばかりでしたから、何もかもが驚きの連続。幼心に「人種の違いって面白い」と感じました。

でも不思議だったのは、学校にいるのは白人ばかりで、純粋なアフリカ人がほとんどいないこと。黒人がいても学年に3人くらいです。後々になって、私立の学校に行くにはお金がかかるので、現地の貧しい人たちは通えないということを知るわけですが、人種の壁、差別というものに触れ、怖いなあと感じたのをよく覚えています。

最初は、自分が日本人だということが嫌でした。みんなと違うのが嫌、みんなと一緒がいいと思っていましたね。でも、私が日本人であることに皆が興味を持ってくれていると気づいてからは、私の方から日本の自慢をするようになりました。日本製のかわいい文房具を見せてあげたり、当時流行っていたポケモンは実は日本のアニメなんだと話したり。そういう文化の違いに興味を持ってもらったり、逆に私も興味を持ったりしました。当時は歴史とか社会的背景までは考えませんでしたが、違うということは面白いことだと考えるようになったんです。

日本に戻ってからは、帰国子女枠で中学受験しました。英語を忘れたくなかったので、授業で手厚く学べる中高一貫の学校を選択。日本で生活し始めたころは、すごく違和感がありました。決められた制服を着たり、流行のカバンを持ったり、友達とそろえてスカートを短くしたりというのは、最初は新鮮で楽しかったんです。ただ、段々と「なんでみんな一緒なんだろう?」と思うようになりました。型にはまった女子中学生・高校生でいることに、とても窮屈さを感じたんです。

クラスでは帰国子女の友達がたくさんできました。ただ、アメリカ帰りの子がほとんど。南アフリカ暮らしで、英語もちょっとなまっている私とはまったく雰囲気が違って、凹んだりもしました。「ああ、自分はちょっと違うんだな」って。

でもそれも、自分の味だと思うようになりました。南アフリカはあまり知られていない分、当時の経験を話すとすごく興味を持たれるんです。だから、みんなが知らないことをうまく使ってコミュニケーションしようと。それ以来、人と違った経験をしたことが、自分にとってはプラスだったと考えられるようになったんです。そして、人と違うことをするのに、あまり恐れがなくなりましたね。

日本に戻ってからの方が、文化の違い、日本人であることについて考えるようになりました。比較文化学に興味を持ち、スピーチコンテストに出てアフリカでの経験を話したりするうちに、専門として勉強しようと決断。早稲田大学の国際教養学部に進学しました。

一番の魅力は、在学中に1年間海外留学ができること。調べると、イタリアのヴェネツィアに、世界中の学生が1年間だけ留学をする大学があることがわかり、絶対にそこに留学し、世界中の人と友達になろうと決意。寮に入ると英語ばかり使ってしまうと思ったので、あえてイタリア人とルームシェアをして、イタリア語も勉強しようと考えました。

イタリアでの生活は…最高に楽しかったです!学校では、「ヨーロッパから見た日本」というテーマの授業を専攻。歴史を学んだり、国際協力イベントなどで日本の紹介をしたりしました。ここでも、世界の日本に対する関心の高さに触れ、驚きましたね。

ルームシェア仲間は全員が年上で、社会人でした。宿題を手伝ってもらったり、一緒にパーティーをしたり、それぞれの興味について話し合ったり、みんなで旅行をしたり。何より、イタリア人は陽気。そして、彼らもやっぱり日本という国に興味を持っていました。海外から見た日本はかっこよくて、憧れで、世界で認められる日本人がたくさんいて、中でも日本の映画やアニメは世界中の人を魅了している。日本人の私からしたら「?」と思うような、盛り過ぎなところもありましたが(笑)、日本に対する強い熱意を感じました。私が知らない日本のことをたくさん知っている。私自身も「もっと勉強しないといけないな」と思いました。日本人として、もっと日本のことを知らなければ、海外で日本を語れないと痛感したんです。


■興味があるのは「世界の懸け橋」になれる仕事

1年間留学した後、3カ月間だけ現地の財団法人でインターンシップを経験しました。「ヴェネツィア ビエンナーレ国際建築展」というイベントの広報をお手伝いする仕事。英語でニュースリリースを作成したり、翻訳などを任されました。

オフィスで働く経験は初めてでしたが、父親を見たりして知っている日本の仕事環境とはまったく違うと思いました。出社時間も自由だし、ほかに大切な予定があればすぐに休みにしてしまうんです(笑)。それでも仕事はちゃんと終わらせるし、とにかくみんな楽しそうに働いています。朝から夜中まで熱心に働く日本の会社員の話をしても、信じてもらえませんでした。

ルームシェアの仲間からも、よく仕事の話を聞きました。イタリアでは、大学で勉強していたことをそのまま職業にする人が多く、興味の赴くままに自分のできることをする人がほとんどなのだそうです。日本であるみたいに、例えば法学部を出て電機メーカーで営業をするみたいなことは信じられないようでした。日本の学生の就職活動の話をしても、「説明会に行くとどうなるの?」「企業理念に自分を合わせないといけないの?」などと逆に聞かれるんです。うーん、確かにそうかもなあ…なんて妙に納得してしまうこともありました(笑)。

でも、今は日本に戻って、日本企業に入社するため就職活動をしています。興味がある仕事はバイヤー・資材調達、そして営業です。比較文化に興味のある私にとっては、国ごとのニーズを把握して、自分で探して提供するような仕事はとても楽しそうに感じられます。海外にある素晴らしいものを日本にオススメするバイヤーの仕事、逆に自分たちのものを海外に合うようにオススメする営業の仕事。そんな、懸け橋的な存在になれる仕事がいいなと考えているんです。

海外経験を通じて私が感じた日本の良さは、和を重んじるというか、みんなで同じ目標に向かって力を合わせる文化です。一方で海外では個性を重視。人と違っても恥ずかしくない、私はこれが好きだからこの道のプロフェッショナルになるというような、“自分は自分”という人が多いように感じました。

日本と海外、両方の文化を経験して思ったことは、人は育った環境や周囲の影響で興味を持つことが違って当たり前だということ。そういう違いを恥じずに、自分の本当に好きなことに対して努力し続けられ、プロフェッショナルを目指していけるというのが、私の憧れかもしれませんね。