山田隆道の幸せになれる結婚 (17) ”略奪愛”を成功に導いた「架空の彼女」「架空の悩み」作戦とは?

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当たり前のことだが、百組の夫婦には百通りの馴れ初めがある。

だから、それらを細かく聞きだしてみると、これはもう小さな恋愛ドラマを楽しむような感覚を味わえる。

自分の人生という実録ドラマにおいては、誰もがみんな主人公なのだ。

中でも、知人であるA君の馴れ初め話は興味深かった。

彼が現在の奥様と初めて出会ったとき、彼女には付き合って何年にもなる恋人がおり、A君はその男からの”略奪愛”に成功したという。

それも、ただ強引に口説き続けて、彼女をついに寄り切ったという単純な話ではなく、その”略奪愛”の裏には実にしたたかな計算があったのだ。

一般的に、”略奪愛”を達成する上で、略奪したい異性の心は”難攻不落”のイメージがあるだろう。

相手に恋人がいることがわかった時点で、早々と諦めて恋愛対象から除外する人も少なくない。

実際、相手がその恋人と順調に付き合っているときは、どんなに強気で口説いても効果がないはずだ。

ただし、である。

どんなカップルにも一度くらいは恋愛の倦怠期、停滞期というものが訪れるもので、その時期を狙って略奪作戦に打って出れば勝機はあるのかもしれない。

A君曰く、その時期を確実に見極めたことが自らの成功につながったという。

奥様と出会ったばかりのころのA君は、この見極めのために”ある作戦”を実行したのだが、その内容にまず驚かされた。

賛否両論あるだろうが、今となっては奥様も笑い話にしているため、どうか寛大な心でお読みいただきたい。

その作戦とは、A君が彼女に対して「自分も長く付き合っている彼女がいる」と嘘をついたことである。

つまり、自分のことを当時の奥様と同じ境遇に置いたのだ。

この嘘設定に信憑性を加えるため、A君は自らのケータイにどこからか勝手に拾ってきた「架空の彼女」の写真を保存。

そして、「君も彼氏いるんだ? 俺も彼女がいるんだけどね」と言いながら、その写真を白々しく彼女に見せたという。

これによって、彼女はA君のことを男女の垣根を越えた友達として認識するようになった。

本来なら、特定の恋人がいる手前、他の男性と二人きりで会うことに躊躇してしまうが、A君にも彼女がいるということが絶好の言い訳になったのか、彼女はやましい気持ちを感じることなく、A君と二人で食事するようになったのだ。

A君の狙いは、まさにここであった。

A君曰く、略奪愛を成功させるために最初に超えなければならないハードルは、恋人のいる女性にありがちな「他の男性に対する警戒心」を解きほぐすことだ。

まずは男女の別なく友達になり、その後は時間をかけて略奪のタイミングをゆっくり待つことが、結果的には一番の近道だという。

そして、次にA君が繰り出した作戦は、自らの恋愛相談である。

A君は「架空の彼女」に対する「架空の悩み」を、当時の奥様に真剣な顔で相談したのだ。

また、その相談内容もすごい。

まずは「架空の彼女」の性格が奥様によく似ているという設定にし、事前に「俺の彼女は君とよく似ているから、アドバイスが参考になる」と印象づけておいたという。

しかし、その上で「架空の彼女」には唯一の欠点があり、そこが悩みの種であると告白。

具体的には「俺の彼女は君と同じで、家庭的でしっかりしているんだよ。

そういうところは好きなんだけどねえ……」と言うことで、暗に「君のことも好きなタイプなんだよ」というメッセージを伝え、その後で「だけど、君と大きく違うのは、女性としての色気がないところなんだよね」と補足する。

つまり、「架空の彼女」の唯一の欠点を補っている存在が、奥様であるとアピールしたということだ。

A君がこうしたことで、当時の奥様はおおいに優越感をくすぐられた。