イプサショップ7店を束ね、現場の声を販売戦略に反映する

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WOMAN’S CAREER Vol.103

株式会社イプサ 岩本千晶さん

【活躍する女性社員】美容職からキャリアアップし、現在は7店を束ねる課長として活躍する岩本さん


■年次を重ねても世代ごとに必要な挑戦・苦労を経験し、視野を広げていきたい

学生のころからイプサの商品と美容法が大好きだった岩本さん。一人ひとり年齢も肌質も異なる来店客、季節に合わせて変えていく美容法、季節ごとに出る新商品、変化する美容トレンドなど、日々変化を感じられる環境の中、目の前の来店客の肌に合った美容法を提案し、満足してもらうことを追求してきた。

「仕事とプライベートとを両立し、ずっと販売に携わっていたい」と考えていた岩本さんに転機が訪れたのは入社9年目のこと。大丸梅田店(大阪市)のショップディレクター(店長)を任され、4人の部下を持つことになったのだ。「8年間、いちクルー(美容職)として自分の仕事のことだけを考えてきた」という岩本さんにとって、部下をけん引するのは苦労の連続だったという。
「皆、イプサへの思いも仕事へのモチベーションも自分とは異なっていたため、私が正しいと思って指導したことや私のやり方になかなか共感してもらえませんでした。強い向上心を持ったグループでいたいという私の思いを実現するにはどれだけの時間がかかるだろうかと思うと愕然(がくぜん)とし、初めて辞めたくなったほどです。とはいえ、イプサが好きでしたし、どれだけ私ができていないことを気にしても『大丈夫、焦らずに頑張って』とサポートしてくださる上司や先輩に報いるためにも、まずは目の前で起こることに誠意を持って取り組もうと気持ちを切り替えました」

商品知識・販売方法の習得のための勉強会の実施や日々の細かな指導、売り上げ増のための取り組みなど、目の前のことにがむしゃらに取り組み続けた岩本さん。その結果、クルーのモチベーションに変化が生まれてきたという。
「クルーから『お店にいらっしゃるお客さまのために』『イプサのために』という言葉が出たり、自信がなさそうにしていたクルーが『自分はもっとこうなりたい』と目標や夢を語ったりするようになったのです。接客でお客さまから感謝の言葉を頂いたときとはまた違ううれしさが込み上げてきて、これがショップディレクターの面白さなんだと感じました。しかも、自分自身の接客にも良い影響が表れたのです。お客さまの言葉に深く共感できるなど、お肌やメイクのカウンセリングにとどまらない心と心のふれあいができるようになりました」

その背景として、岩本さん自身のクルーへの接し方に変化があった。当初は自分が正しいと思うことをひたすら言い続けていたが、クルーの話を聞くことに重きを置くようになったのだ。
「マネジメントに関する書籍を読んだり上司に相談したりもしていたのですが、ふと、自分が月1回の上司との売り上げやクルーの育成に関する情報共有の面談で気持ちを切り替えられていることに気づいたのです。日々の悩みや不満を吐き出したことで、自然と自分の中で答えを出せたり、気持ちがすっきりしたりしていました。それはクルーも同じなんじゃないかと、面談の時間を作ってクルーの思いにじっくりと耳を傾けることに。お互いの理解の食い違いに気づいて誤解を解消する機会にもなりましたし、自分が気づかなかった店舗の改善点を提案してもらえるなど、皆の向上心の高まりも感じられるようになりました」

「仕事の9割は苦労や格闘の連続でしんどいことばかり。でも、苦労も続けていれば、こんなふうにごほうびのように感じる瞬間があるんだと感動した」と振り返る岩本さん。売り上げ面でも上司やショップディレクター仲間に教わりながら試行錯誤を重ね、好調を保てるようになった。しかし、ショップディレクターになって6年目、30代半ばを迎えようとするころにショップディレクターでい続けることへの不安を感じるようになってきたという。
「店舗運営の要領もつかめ、会社からも一定の評価を頂いていましたが、その居心地の良さに甘えていていいのだろうか、30代後半を今見えている世界の中だけで過ごしていて後悔しないだろうかと感じ始めたのです。20代後半にショップディレクターとして成長できたのは、20代の勢いとがむしゃらさがあったから。30代で同じことはおそらくできないでしょう。それなら、30代には30代の新しい挑戦や、失敗から立ち直る経験が必要だと思いました」

転職するのではなく、大好きなイプサの中で役割を変えられないかと上司に相談して勧められたのは、社内公募制度「ジョブチャレンジ制度」への応募。そのとき応募した業務は東京勤務が必須だったためにかなわなかったが、数カ月後、現在の業務への異動が実現した。大阪を拠点に関西圏の7店舗の予算管理や新商品の販売戦略の検討を行う仕事。「店舗しか知らない自分の視野の狭さに自信を失った」という岩本さんは、視野を広げるべく試行錯誤を重ねている。
「月1回のマネージャー会議で新商品の発売時期や販売目標などを議論する際に何が正しいのかわからず、議論についていけないことがあるのが課題です。判断できないのは、商品・販売にかかわる社員それぞれの役割や立場、考えを知らないから。さまざまな立場からの見方を知って一つの事象を多面的にとらえた上で判断できるよう、今は関係する社員の話をどんどん聞いて視野を広げようとしているところです。苦しいですが、きっと今が成長どき。ショップディレクター時代と同様に視界がぱっと開けるときがくると信じて、目の前の仕事に誠意を持って取り組んでいきたいと思います」