日本版ISAの始動で、国民の資産運用への意識が高まるか?

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フィデリティ投信(以下、「フィデリティ」)は1月30日、メディアコンファレンスを開催。

2014年1月から始まる「日本版ISA(アイサ)」の普及、ならびにISAに対する同社の取り組みが説明された。

日本版ISAとは、いわば「少額投資のための非課税制度」のこと。

これを利用することにより、最大500万円分の投資に対する配当や売却益が非課税になるため、個人が資産運用を行う際に利用するのに適した制度である。

ちなみに、イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)を参考にしている制度であるため、こう称されるとのこと。

イギリスでは利便性から、口座開設をきっかけに将来への蓄えを始める人も多いという。

また、同社はイギリスではISAのNO.1プロバイダーだという実績があり、その知識と経験をいかして、日本版ISA導入の際、この仕組みの存分な活かし方等について政府への提言も行っている。

同社取締役兼代表執行役社長のジュディ・マリンスキー氏は、「日本でもこの仕組みの導入によって、資産運用を始める人が増えれば」と語った。

「日本版ISAの導入に合わせて、フィデリティではどのような商品を展開していくのか?」との質問に対しては、「この仕組みのための新商品を設けるのではなく、既存の商品に対して適応してもらえるような施策をとる」と回答。

長期的な視野で資産を積み上げていくための仕組みなので、実績のある商品で活用するのにふさわしいとの考えだ。

続いて、同社調査部部長 三瓶裕喜氏が投資市場の分析方法について解説した。

同氏によれば、商品選びの際にはアナリストの意見が大いに参考になるとのこと。

現在同社は、日本国内に25名の株式アナリストを有している。

それぞれが担当業種について理解を深め、また、常に情報のすみずみまで把握するよう努めているため、長期的「勝ち組」の選別に尽力できるのだという。

三瓶氏はその例として、スマートフォン市場の今後を分析するために、アナリストは3つの観点から物事をみていると紹介。

たとえば、2012年のスマートフォン販売台数は約7億台であり、うち70%はグーグルのAndroid OSを搭載、22%はアップルのiOSを搭載している。

しかし、課金アプリ市場をみると、iOSのほうが圧倒的に優勢だという。

「つまり、スマートフォン市場を分析するためには、OS、ハードウェアー、アプリの今後を見極めることが不可欠だということ」と三瓶氏。

同社のアナリストはほかの分野の分析にも長けているので、日本版ISAをより上手に活用して資産を増やすためには、彼らの存在がキーとなってくるとのこと。

この日本版ISAの普及のために必要な条件として、ジュディ氏は「誰にとってもわかりやすい簡単な仕組みであること」「長期投資に適していること」、「信頼できること」の3点を示した。

「日本でもISAが普及して経済が活性化すれば、個人(=ISAを利用する個人投資家)、金融業界、そして政府の3者すべてにとって利益がもたらされるだろう」とジュディ氏。

日本版ISAがその3点を備えた制度として普及するよう、同社は日本版ISAのマーケットリーダーとしての役割を担っていく方針だ。

では、同社が日本版ISAを普及させるために、具体的にどのような取り組みを行っているのか。

同社退職・投資教育研究所所長の野尻哲史氏にお話をうかがった。

野尻氏によると、イギリスでこの制度が導入されたのは1999年だが、2010年の調査では、ISA利用対象年齢に達している人のおよそ50%がISAで口座を開設しているという。

また、日本版ISAへの国民の認知度を高めようとすると、若年層へのアピールが不可欠とのこと。

「メディアや広告も活用して、より多くの人に日本版ISAの存在を知ってもらいたい」と野尻氏。

その足がかりとして、「ISA」を”アイエスエー”ではなく”アイサ”と読んでもらえるよう、ロゴも作成したという。

日本版ISAの現行スキームでは、配当や株式売却益が非課税となるのは5年間、制度は10年間存続とされる。

しかし同社では、制度の恒久化を政府に提言しているという。