岩本沙弓の”裏読み”世界診断 (24) ”円安”進む日本は大丈夫か? オバマ演説に見る「エネルギー戦略」の重要性

写真拡大

1976年、米国は現職のフォード大統領と民主党のカーター候補が大統領選にのぞんでいました。

当時私は米国の小学校に通い始めたばかりでしたが、大統領選挙の当日は通常の授業は全てなし、一日中大領選の行方について、多分それぞれの候補者の政策なども踏まえて、クラスで延々と話をしていました。

黒板にはフォードとカーター両氏の名前が書かれ、生徒が話をする過程で、私はフォード、僕はカーターと支持が変わるたびに先生が人数を書き換えていき、最終的にどちらの得票数がこのクラスで多かったか、%での計算を出していました。

英語がさっぱりわからない私は途中一言も発することも出来なかったわけですが、先生が最後にあなたはどちらに入れる? と尋ねてくれました。

当然、黒板に書かれた文字が、どちらがフォードでどちらがカーターかもわかりません。

そもそもそれが誰なのかも、どういう人となりかもわかりません。

ただ理解できたのは、大統領選というのは米国国民の隅々まで、選挙権もない政治に関係ないと思われる小学生までをも真摯な議論に巻き込む大変な選挙なのだ、ということでした。

こうした老若男女の熱い議論を経て昨年も大統領選挙が行われ、バラク・オバマ大統領が再選を果たしました。

したがって、その大統領がいざ就任となれば、米国民は一斉にその一挙手一投足を見守るわけです。

当然、第一声である就任式演説にも注目が集まります。

オバマ政権第二期の就任演説は1月21日の日本時間の夜中に行われました。

第一期目に就任演説に集まった人数に比べて今回は激減、というような内容を伝えていた日本のメディアもありましたが、演説の内容はこれから米国が進んで行こうとする方向を示すものですから、米国内の注目度は絶大です。

米国の経済政策を考える上での指針にもなります。

今回の内容ですが、登場した順番にしたがってテーマ別に列挙していくと、まずは導入の部分で教育や雇用の重要性を説いた上での”A decade of war is now ending. An economic recovery has begun. (戦争の10年は終わろうとしている。

経済復興が始まったのだ。

)”という箇所が印象的でした。

上記の英語サイトをご覧になるとわかると思いますが(Applause)と後に続いています。

拍手と歓声が沸きあがった部分にはこの注釈が入るのですが、この文のあとにも当然のことながら入っています。

米国は景気の最悪期を脱し、上向きになっていることを大統領が宣言したことは大変重要なポイントでしょう。

サブプライム危機の影響で…などと言っている時は終わったということです。

メーンの部分に入ってきて、まず取り上げていたのが格差の是正についてです。

特に中間層の復活については、豊かな生活を送る人数がどんどん減り、ギリギリの生活を送る人が増える状況で米国が成功することはない、中間層の隆盛の上に米国の繁栄があると明言しています。

この辺りは是非、日本のトップにもおっしゃっていただきたいことです。

次に登場したのが社会保障ですが、政府債務の削減には留意しながら、公共投資や医療への支出継続は難しい選択であるとしながらも、それでも高齢者世代をいたわるのか、あるいは未来の世代に投資するかを選択すべきという意見には反対と、より柔軟な対応を求めています。

誰もがやがては老いを迎え社会的弱者になるのはわかっていることです。

また不慮の事故によってハンディキャップを背負う、災害に遭遇して弱者の立場になる、これは誰にでも起こりうることだからこそ、弱者も生きやすい社会基盤と整えようと訴える姿勢には共感を覚えます。

弱者が生きやすい社会が結局は誰もが生きやすい社会に通じるはずです。