百貨店編

業界トレンドNEWS Vol.160

百貨店編

売り上げを支える2本柱は「衣料品」と「食料品」!百貨店業界の新しい動きをチェック!


■市場規模の縮小が下げ止まりの兆しか?衣料品分野での新たな動きに注目しよう

日本百貨店協会の公表資料によると、2012年における全国百貨店の売上高は6兆1453億円。11年(6兆1526億円)に比べ、0.1パーセントのマイナスとなった。売上高の減少は、これで16年連続。市場規模は、ピーク時の1991年(9兆7130億円)の3分の2ほどに縮小している。ただし、既存店ベースの売上高は0.3パーセント増えており、下げ止まりの兆しが見え始めているのは明るい材料だ。

従来の百貨店において、収益の柱になっていたのは衣料品分野だった。しかし、ファーストリテイリング(ユニクロ)に代表される低価格業態店が勢力を伸ばし、百貨店は押される一方。さらに、景気の動向に左右されやすい高級衣料品が近年の消費不振で落ち込んだことも影響し、売り上げは大きく減少していた。そこで、2008年以降の百貨店業界では、「デパ地下」に力を入れるなどして食料品売り場を改革。高額商品ではなく、中・低価格帯の生鮮品や総菜に力を入れ、来店客数を伸ばしてきた。

ところが、ここに来て衣料品分野でてこ入れを図る動きが活発化している。その筆頭が、三越伊勢丹ホールディングスだ。同社は13年にもSPA(Speciality store retailer of Private label Apparelの略。製品の企画から販売までを一貫して手がける「製造小売業」のこと)を目指すと発表。自社ブランドを展開することで、これまでアパレルブランド側に握られていた価格決定権を百貨店側に取り戻すことが狙いと見られている。ただし、自ら企画・製造した衣料品が売れ残った場合、在庫リスクを自社で負わなければならないのは懸念材料だ。

また、「衣料品バーゲン期間の後ろ倒し」も、各社にとって争点の一つとなっている。12年夏、三越伊勢丹ホールディングスは「夏物のセールを7月1日から始めるのは、商売上おかしい」とし、夏のセール時期を先送りした。他社もこれに追随し、セールは約2週間後の7月13日から本格スタート。商品を正価で売る期間が長くなったことで、利益を得た百貨店・アパレルブランドもあった半面、バーゲン期間が短くなったことで在庫処分の機会が失われ、損失をかぶったところも多かったという。そのため、12年冬セールでは、多くの百貨店がセール期間の後ろ倒しを取りやめた。セールの扱いについては今後も百貨店ごとに方針が分かれるとみられており、成り行きを見守る必要があるだろう。また、百貨店とアパレルブランドの関係性がどのように変化するかという点にも、ぜひ注目しておきたい。

12年は、「東京ソラマチ」(東京都墨田区)、「渋谷ヒカリエ」(東京都渋谷区)など、大型商業施設の開業が相次いだ。競争環境がさらに激化しているため、各社では都心部の大型店を中心に改装計画を進め、店舗の魅力アップに努めている。12年10月に大丸東京店、12年11月には阪急うめだ本店がそれぞれオープン。ほかにも、改装を予定している大型店は多い。また、アジアへの出店に力を入れる百貨店も増加。高島屋のように「日本スタイル」を強く打ち出すことで、現地の富裕層を取り込もうとする動きも表れている(ニュース記事参照)。