「毎日本当に幸せでしょうがない」と言うのは、島根県の隠岐諸島にある海士町に住むあるおじいちゃん。人口は約2300人、人口の4割が65歳以上という今の日本を縮小したような小さな離島ですが、そこで毎日のんびり暮らすのが本当に幸せだと話します。

 しかし、この島で地域づくりを行う「巡の環」という会社を企業した阿部裕志さんがそのおじいちゃんに島の未来のことを尋ねると、先ほどののんびりとした口調が一変。「未来の地域の担い手である子どもがどんどん減っていっている。これに対して、わしらはなんとかしないといけない。体が動く今のうちに力を合わせて、これからの子どもらが生きていきやすい地域を、わしらが残していかないといけない」と語ったと言います。

 阿部さんはこの話を聞いて、アメリカの先住民・インディアンのことを思い出したと、著書『僕たちは島で、未来を見ることにした』で言っています。インディアンは大事なことを決めるとき、「7代先のことを考えて決める」そうです。自分自身や自分の世代のことでもなく、これから未来の世代を生きる子どもや孫、さらにはまだ生まれてもいない新しい命のことまで考えて今を生きているといいます。

 このおじいちゃんだけでなく、海士町の人たちも自分の人生とは別に、もうひとつの時間軸で物事を捉えているのです。阿部さんはこれを「土地の時間軸」と呼んでいます。「自分の人生を、自分のもの、あるいは自分の世代のものだけではないと捉えて生きていくこと。今の時代、今の日本の社会には、その考え方が必要なのではないでしょうか」と阿部さんは指摘します。

 約50年後には65歳以上が5人に2人になり少子高齢化が加速すると予想されている日本。社会保障の改革がされる予定ですが、今後の高齢化を考えるとその制度が持続可能性には疑問が残ります。先行きが不安だからこそ「今が良ければそれで良し」とせずに、インディアンや海士町の人々のように"もうひとつの時間軸"を持つべきなのではないでしょうか。



『僕たちは島で、未来を見ることにした』
 著者:株式会社 巡の環 (阿部裕志・代表取締役/信岡良亮・取締役)
 出版社:木楽舎
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