家庭教師の需要ってどうなっているの?



自宅に訪れてマンツーマンで勉強を教えてもらう家庭教師の先生。少子化などが問題となっている昨今では、需要というのは以前と比べてどう変わっているのでしょうか?

大手家庭教師派遣会社である『家庭教師のトライ』の森山真有さんに、家庭教師のニーズの変化や、最近の家庭教師の指導方法はどうなっているのか、など伺ってきました。



■家庭教師のマーケットの増減は?



――家庭教師の需要というのは以前と比べると増減はどうなっていますか? 例えば10年前と比べた場合はどうでしょうか?



森山さん 学校外教育全般のマーケット全体で考えると「家庭教師のマーケット」というのは、10年前よりやや小さくなっているかもしれませんね。



――その理由は何でしょうか?



森山さん 家庭教師や個別指導などの学校外教育全般のマーケット規模そのものが、少子化などに準じて減少していることがまず挙げられます。



また、2002年の『学習指導要領の改訂』により「勉強しなくても進学できる」状況が数年続いたことにより、個別指導までしなくても良いと考える方が増えた可能性もあります。ただ、再び指導要領が変わり、今は逆の現象が起き始めています。



――少子化だけでなく、学習指導要領の改訂も影響しているのですね。



森山さん また、10年前はごく少数だった「個別指導」が大きく伸びていることも、要因と言えます。

現在の学校外教育全般のマーケットは約9,000億円と言われていますが、その半分近くを個別指導が占めるようになっています。



――なるほど。ということは、家庭教師の需要が下がっていると言うよりも、「個別指導」が大きく伸びたことでシェアの割合が変化したとも言えるんですね。



森山さん そうですね。集団塾のシェアが最も低下していますが、家庭教師ニーズの一部が個別指導塾に転化していると思います。



――少子化や学習指導要領の改訂などで一度は下がってしまった家庭教師のマーケットですが、今後はどうなりそうですか?



森山さん 先ほど少し触れましたが、2011年の学習指導要領の再改定の影響で微増していると思います。なお当社ではここ3年は生徒さんの数が16%前後増えています。



――なるほど。ここ数年は回復傾向にあるのですね。



■生徒それぞれに合った指導を



――家庭教師の先生の教え方というのは、以前と比べるとどう変わってきているのでしょうか?



森山さん 一昔前ですと、家庭教師というのは生徒の横についてわからない問題があれば教えて解かせての繰り返し、というのが多かったと思います。

これでは成績のいい生徒の場合は先生はほとんどやることがなく、苦手科目を持つ生徒も分からなかった問題の解き方だけを聞いたところで、根本解決しませんから「家庭教師の先生に教わった範囲の類題をテストで解けなかった」ということも起こります。



――なるほど。



森山さん また、学生さんたちに何も指導せずに家庭教師をやらせると、生徒に対して自慢気に教える人が多いですね。



――「俺、この問題解けるぜ?」みたいな感じですか?



森山さん そういうことです。これは昔も今も変わりません。自慢気な教え方をされると、子供は理解していなくても「わかった」と言わざるを得なくなりします。



家庭教師の本来の役割は、「苦手の起点を見つけること」「勉強のやり方やコツを教えること」「できなかったことができた時に褒めてあげて成功体験を積み上げてあげること」です。トライでは、その辺りを指導に当たる前に家庭教師にたたき込んでいます。



――トライさんでは、生徒に対してどんな指導をしているのですか?



森山さん まずは「どこがわかっていないのかを見つけ出してあげる」ことです。家庭教師の授業というのはレントゲン写真のようなものだと思います。集団授業で身につかなかった部分を見つけ出し、そこを直してあげる、と。



――生徒数の多い学校の先生だと、そこまで気が回らないですよね。



森山さん のような細かいことは1対1の家庭教師にしかできません。分からないの起点に戻って丁寧にやり直し学習をすることで苦手が解消し、学力の向上につながります。



――これまで苦手だった箇所がわかるようになれば生徒本人も楽しくなりますよね。



森山さん 「学んだ内容を説明させる」という学習も行っています。物ことを理解するには人に説明させることが一番だと思うんですね。



例えばカラオケの場合、よく聴いている曲だけどいざ歌ってみるとサビしか歌えなかったり細かい部分がよくわからなかったりしますが。何回か歌えばいろいろわかってきます。同じように、学んだことを説明させることで、学習内容が頭の中が整理され、まとまっていくんです。



――アウトプットさせることで理解を深まらせているのですか。



森山さん また、「学習でつまずいた時にどうするか」アドバイスしてあげるのも大ことです。最近の子は、どこかでつまずくとそこでやめてしまう傾向があります。



例えば、問題集をやっていて2番目の問題がわからないと、それ以降の問題もやらなくなってしまう。そういった生徒には「10分考えてわからなかったらポストイットを貼(は)って次の問題に行くように」と一言指示するだけで次に進むんです。そういうちょっとした勉強のコツを教えるだけでも成果が目に見えて出てくることが多いのです。



――細かなケアをしてあげることで生徒のモチベーションも変わりますね。



森山さん 学習法もそうですが、そうしたアドバイスやケアの方法も生徒それぞれで異なります。トライでは生徒の性格を9つのタイプに分け、それぞれのタイプに合わせた接し方や指導を実施しています。これは「性格別学習法」と呼ばれるものです。生徒の長所や短所、また価値観などを考慮し、より適切で効果的な指導を行っております。



――性格も生徒さんそれぞれで違いますし、本当に細かい部分まで徹底した指導をしているんですか……。一昔前の家庭教師の世界ではなかったことですよね?



森山さん 生徒の個性やタイプなどを心がけている先生はいたかもしれませんが、大半はただ教えるだけだったでしょう。



――そう考えると、いまの生徒さんたちは本当に恵まれていますよね。





家庭教師の需要は2002年を境に減少したが、近年は増加の傾向にあるようです。

また指導方法も、生徒それぞれに合った教え方をしてくれたり、細かいケアをしてくれたりと、一昔前とは大きく変わっています。

家庭教師の世界も大きく変化しているようですね。



(貫井康徳@dcp)





【家庭教師のトライHP】

http://www.trygroup.co.jp/index.html