経営課題解決への企画提案と米国での事業展開がミッション

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ビジネスパーソン研究FILE Vol.199

株式会社ワークスアプリケーションズ 寳槻昌則さん

入社2年目にして企業の経営課題への企画提案と米国での事業展開を担う寳槻さん


■独自に考えた、クライアントへの提案内容が評価され、新領域での大型案件のチャンスをつかむ

「私たちは、企業の経営資源を統合的に管理し、経営の効率化を図るためのお手伝いをしています。弊社で開発したERP(*1)パッケージソフト『COMPANY』を活用することで、経営資源についての正確な最新情報を共有し利用できることが、経営者の意思決定を支援し、また、企業全体の最適化を促進させる。さらには、正確に早く処理すべき業務はシステムを活用することで、社員の労力を軽減することにも寄与しています。単にモノを売るのではなく、お客さまの経営課題をヒアリングし、一番ベストな解決施策を提案し実現させる、いわゆる経営コンサルに近い業務と言えますね」

1案件が数千万円から数億円、結実までに1年近くかかることも珍しくないため、新人のセールス担当がすぐに成果を挙げられるような仕事ではない。かといって、業務マニュアルが用意されているわけでもないし、そもそもお客さまの経営課題はさまざま。新人のころから自ら考え、行動することが求められる。セールス&マーケティングに配属されたたくさんの同期の中で「とにかくチャンスをつかもう」と考えた寳槻さんは、従来のやり方にとらわれることなく、自分なりに戦略を考え、実践した。
「まずは、どの企業にアプローチするかを絞り込むターゲティングから開始。会社四季報のデータを吸い上げ、一定以上の売上高がある企業の中で業績が3期連続伸びている企業を抽出するなどを行いました。次に、リストアップした企業の人事部長や経理部長にアポイントをとるわけですが、自分なりにいろいろな切り口を用意し、相手が興味を持って話を聞いてくれる話題を定量分析したんです」

寳槻さんがチャンスをつかんだのは約1年後。従業員10万名規模のメーカーに対する人事分野の経営課題を解決するためのプロジェクトメンバーに抜擢されたのだ。
「とはいっても、野球に例えるならベンチ入りできただけ。でも、弊社には誰でも自由に意見を述べ、主体的に動ける文化があるので、積極的に取り組んでいるうち、提案書を任せてもらえることになったんです。ようやくバッターボックスに立てた(笑)。この案件では、企業の今後を担うために重要な役割を果たすBPR(*2)の提案をしていたのですが、私はBPO(*3)も併せてやるべきと考えました。しかしこの2つを同時に実現させることは、大規模な企業ほど難しいという業界のセオリーがあった。社内でも新領域の提案でした」

チームや他部門の人たちとディスカッションを重ね、考え抜いて書き上げた提案書は300ページにも及んだ。結果は受注には至らなかったが、寳槻さんに悔いはなかった。
「考えないホームランより、考え尽くした三振の方が価値がある。当社にはそういう文化があります。私自身、そのプロジェクトで得点は挙げられなかったけれど、達成感は感じていました。できないかもしれないギリギリの案件を任せてもらったこと、それを必至に考え抜いてやりぬいたことで、この先もっと難しい仕事にチャレンジしたいという意欲もわきました。自己成長の第一歩になったと思っています」

失敗を許容し、次に同じ失敗をしない布石にする――これがワークスアプリケーションズの考え方。チャレンジしたことが正当に評価されることを裏づけるように、この1カ月後、寳槻さんは“アシスタント”から、一人前として先輩社員と同等に評価される“メンバー”に、今までのセールス&マーケティングに配属された新卒の誰よりも早く昇格した。

(*1)ERP=Enterprise Resource Planningの略。企業の基幹業務を、部門ごとではなく統合的に管理するためのソフトウェアパッケージ。

(*2)BPR=Business Process Re-engineeringの略。企業活動に関する目標(売上高、収益率など)を設定し、それを達成するために業務内容や業務の流れ、組織構造を分析、最適化すること。

(*3)BPO=Business Process Outsourcingの略。企業が自社の業務処理の一部をアウトソーシングすること。


■新領域でイノベーションをおこすために。難問へ挑戦し続けることが成長の糧となる

2012年、寳槻さんは新たに発足した各業界のトップ企業を専門に担当するセールスチームに異動となった。企業規模が大きくなれば、課題はより複雑化するので、さらに考え抜く力が求められる。当然、1案件に要する時間も長くなる。異動して3カ月後、寳槻さんは、会計分野の中でも提案実績の少ない領域へチャレンジし、老舗の大手金属メーカーから初受注を果たした。
「受注できてもできなくても、やり切ったという達成感は同等ですが、やはりホッとします。この受注は、発足されたばかりのチームにとっての初めての受注。新たなことに挑戦しているメンバー全員で、喜びを分かち合えたことが何よりうれしかったですね」

この異動と機を同じくして、寳槻さんにもう1つのチャンスが舞い込んでいた。自社が本格的にアメリカ展開を始めるにあたって召集された特別編成チームへと誘われたのだ。
「聞かされたときは『本気ですか!?』と驚きました。新たな組織で新たなことに挑戦中の僕に、二足のわらじを履けというのですから(笑)。業務負荷を考えると不安でしたが、日本という領域を飛び越え世界に打って出ることにワクワクしましたし、自分を推薦してくれた先輩の期待に応えたいという気持ちも大きかった。結局、『面白そう!』という思いが優先され、兼務することにしました」

特別編成チームの最初のミッションは、海外に進出する日本の大手企業の経営層をニューヨークに誘致しセミナーを開催すること。寳槻さんは企画から運営まですべてを手がけることに。国内でのセミナー経験は豊富なワークスアプリケーションズだが、海外での開催は初めて。どんなお客さまにアプローチすればいいのか、どんなコンテンツなら価値があると思っていただけるのか、という大きな問題から、渡航中の保険はどうするのかなど、小さな問題まで課題は山積みだった。そのうえ、本業のセールス活動とも両立しなければならない。
「時間をかければきりがありません。まずはあるべき姿を考え、実現するにあたり障害となる課題を取捨選択して優先順位をつけ、限られた時間で最大限の価値を生む仕事をしようと、取り組みました」

チーム発足から2カ月後の10月、ついにセミナーの日を迎えた。現地に渡航してからも、日本からお呼びしたお客さまを乗せたニューヨーク便の到着が台風で遅延し、精密に創り上げた台本やタイムスケジュールを開始数時間前に再度直したりと、降りかかるトラブルを臨機応変に対処して、なんとかセミナーを成功に導いた。
「代表取締役CEOからは『よく頑張った』とねぎらいの言葉をもらいました。もっとも感激したのは、ビジョンムービーが、セミナーの最後にスクリーンに映し出された瞬間です。自分たちが描いている夢を映像化したムービーがニューヨークで流れ、それに拍手を贈るお客さまの姿を見て、鳥肌が立ちました。『これからアメリカで業務展開していく最初の足跡を、ニューヨークに残すことができた』と思えて、胸が熱くなりました」

入社2年にして、会社の将来を担う事業に次々と携わってきた寳槻さんの次なる目標は、組織デザインに携わり、さらなるイノベーションをおこしていくこと。
「変革や競争の激しい時代に、組織全体で価値を生み出すことは、自分1人が価値を生み出すよりも、はるかに難しくて素晴らしいこと。だから、プレイヤーとしてスキルアップしていくだけではなく、組織や方法論を考えるマネジメント力も養っていきたいと考えています。もう1つ、アメリカでの事業展開のように、新領域に飛び込み、新たなる価値を生み出すことにもどんどん挑戦してみたいですね。日本企業の細やかな業務プロセスを組み込んだ当社のサービスは、世界に認めてもらえる価値があると信じています。前例がなく、日本の常識も通用しない海外でその価値を広めていく行為は、すごくクリエイティブ。難題に挑戦する日々は自分の限界に向き合うことなので、苦しいときもありますが、それ以上に面白いと感じる日々を過ごしています」