仕事に「幸せ」を求める人は半数以下!

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■「安心領域」の人と愚痴大会をしていないか

吉本興業でマネジャーをしていたとき、いろんな芸人さんを見てきました。そこでわかったのは、芸能界は売れようと努力したタレントしか売れないということ。自分の不遇を事務所のせいにしたり、ライバルのせいにしたり、責任転嫁するタレントは決して売れません。そういうときでも「今、時間があるんだから、なんか仕掛けてみようかな」と思える人は売れていきます。

幸せもそれに似ていて、一番大事なのは自分で「幸せになってやる」と思うこと。努力が必要なんです。誰かが幸せにしてくれると思っていたら、いつまでも幸せになれません。不幸だと嘆いて、「会社が幸せにしてくれない」「社会が悪い」と人のせいにするのは楽だけど、何も生まないのです。

じゃあ、幸せって何でしょう? これは人それぞれ。ひとつ言えることは、どこにでもあるもの、気持ちひとつで、得られるものだということです。

友人の中に劇団をやっていて、同窓会の会費も払えない超貧乏な同級生がいます。彼は好きなことを楽しそうにやっていて、すごく幸せを感じていることが見ていてよくわかる。なぜかというと、彼は自分の人生を他人のせいにしないし、他人と比較しません。年収や地位を他人と比較してしまうと、人は不幸な気がしてくる。比べるのは、人じゃなくて昨日の自分。昨日よりも元気か、昨日よりも笑えているか、と考えていくのが幸せを見つけるコツだと思います。

といっても、考え方をすぐに変えるのは簡単なことじゃない。幸せになるには、まず態度から始めるといいです。笑顔でいる、明るく挨拶する、他人を褒める。基本中の基本ですけど、手っ取り早くできるし、どれも小さな幸せを感じられます。

そして言葉も重要です。鬱になった経験を持つ友人は、「つまらない」ばかりを口にして、その自分の声を聞いてますます憂鬱になっていったそうです。「頑張る」という言葉は疲れるとしても、「嬉しい」「楽しい」「美味しい」は、ハードルが低くすぐに使える言葉です。いいことがあったとき、その気持ちを口にしていくと、言葉先行で結構幸せな気分になっていきますよ。

幸せを感じるために、覚えておきたいのは「引き寄せの法則」です。心理学的には「安心領域」と言われるもので、人は自分と同じタイプの人と集まりたがる傾向があるそうです。

同じタイプが集まること自体は悪いことではないです。そこで交わされる会話が重要です。売れない営業マン同士の会話は、「景気が悪いから」「こんなノルマはムリだ」。モテない男性の集団が居酒屋に行ったら、「女ってわかってないよなー!」という愚痴の大会になっていく。自分が不幸だと思いながらその手の集まりに参加しても、気分はなかなか切り替わりません。

幸せになるには、日常の会話を変えてみることです。例えば営業マンだったら「みんな売れていないから、今月は1人だけに売り上げを集めて勝たせようか?」というような前向きな会話をすると気分が変わるし、ひいては環境も変えられます。

こうした言葉は自分から発するだけでなく、他人からかけられても嬉しいものです。できれば、一緒にいると元気になれる人を見つけて、自分が落ち込んだとき、「おまえはそれでいいんだ」「心配するな」など、言ってほしいことを前もってお願いしておくのも有効な手段です。何を言われるのかが事前にわかっていても、気持ちいいものです。幸せな気分になるのは、そういう小さなメンテナンスを日頃から積み重ねていくしかありません。

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NPO法人笑いと幸せ研究所 理事 
大谷由里子
大学卒業後、吉本興業に入社し、故・横山やすしのマネジャーなどを務める。現在は、志縁塾の代表取締役として年間300を超える講演・研修をプロデュースする。

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(NPO法人笑いと幸せ研究所 理事 大谷由里子 構成=鈴木 工 撮影=上飯坂 真)