愛媛県松山市が「俳都」なのを知っていますか?

写真拡大

愛媛県松山市は、夏目漱石が英語教師として赴任したことから、小説『坊ちゃん』の舞台となった地として有名だ。

また、あまり知られていないが、多くの俳人を生み出した土地でもある。

近代文学にも多大な影響を及ぼした正岡子規、高浜虚子といった先人の英知をたたえるためにも、同市は「俳都」を名乗り、俳句による町興しを進めている。

まずは市民や観光客に俳句に親しんでもらおうと、街中には俳句ポストを設置。

また、小学校の夏休みの宿題に、俳句が取り入れられることも多いという。

毎年8月には高校生対象の「俳句甲子園」が開催されるし、1月にはその大人版ともいえる「まる裏俳句甲子園」が開かれる。

こうした試みが功を奏し、市民にとって「俳句のある生活」はごく自然なものになっている。

市内在住の20代女性からは、「月に2回ほど俳句ポストに作品を投稿しています。

暮らしの中で目についたものは、作品に落とし込みたくなるんですよね」という声も。

また、子規や漱石による直筆の句碑が並ぶ「俳句の道」をはじめ、街のあちらこちらに俳句にまつわる像やモニュメントがあることも一役買っているのかもしれない。

市内の幼稚園や小学校では、遠足でこうしたスポットを訪れることもあるというし、小さい頃から俳句は身近な存在なのだろう。

さらに、市内にある正宗寺(しょうじゅうじ)境内には、子規の旧宅を模して建てられた木造平屋の「子規堂」があり、建物内には子規の遺墨や遺品などが展示されている。

また、道後(どうご)にある「子規記念博物館」では、子規の人物像、業績を資料展示や映像などで紹介。

子規の作品を通して松山市の歴史や文学ついても学ぶことができる。

松山市産業経済部観光産業振興課の仙波匡視さんは、「文学の街・松山市では、俳句は市民に広く親しまれています。

俳句ポストは、道後温泉本館など市内57カ所に加えて、路面電車内やフェリーの中、そして県外にも設置していて、松山在住の俳人が投稿された作品の中から入選句を選びます」と説明。

また2010年10月には、観光客にも俳句を通して街の魅了を伝えようと、個性豊かなガイドの案内のもと街歩き観光を楽しむ「松山はいく」がスタートした。

「有料ですが、俳都・松山市ならではの水先案内人との街歩きは、他ではなかなか味わえないです」(仙波さん)。

ガイドは「松山はいく」発足時に募集した。

すると、俳句好きな市民から応募があったのはもちろんのこと、応募をきっかけに海外から戻ってきた人もいたという。

ちなみに、先の「まる裏俳句甲子園」にガイドメンバーチームで出場して、準優勝の栄光を勝ち取ったこともあるのだとか。

ちなみに「松山はいく」は、五・七・五の俳句とハイク(歩く)を掛け合わせてつけられた。

「希望者には簡単な俳句指南も行いますし、たっぷり俳句を楽しみたい方のための吟行向きコースも用意されています」(仙波さん)。

「松山はいく」は現在、個人やグループなど旅の目的に応じた16のコースを設定している。

普段から俳句に親しんでいると自負する人には、「俳都・松山文学紀行−三庵めぐり−」「レトロ三津浜ぱくぱくはいく」「道後・朝はいく」がおすすめ。

まずは俳句や文学を気軽に楽しみたい!という人には、「俳句女子のススメ」(男子もね!)、「道後で5つの『しき』を感じる」がイチオシ。

また、仙波さんによると、「道後温泉本館」について歴史+αの魅力を伝えてくれる案内も聞きどころだという。

「松山はいく」のガイドとともに観光するポイントとして、仙波さんは「俳句指南が受けられる」「いろいろな話が聞けるので松山観光がより一層楽しくなる」「隠れた名所や名店に行ける」「名所を効率よく回れる」の4点を挙げてくれた。

オリジナリティー溢(あふ)れるコースを満喫し、旅の途中で思いついた句を投句すれば、帰宅した後も作品の入選発表を待つ時間まで楽しめるのが愉快だ。

最後に、仙波さんおすすめの松山観光をたっぷり楽しんだ後に、自宅や職場でも俳句の趣を楽しめるお土産をご紹介。

つばきが運営する「歩音(あるね)」で販売している、「俳句恋みくじフォーチュンクッキー」がそれだ。

クッキーを割ると中から出てくる恋みくじには、恋にまつわる句とともに、松山ゆかりの俳人による作品の解説が記載されている。

同僚や友達と一緒にいただけば、占いを楽しみながら俳句への造詣も深められて一石二鳥かも。