外資系銀行でディーラーとして活躍後、業界黎明期よりFXビジネスに携わるパイオニアの一人で、FX プロフェッサーこと鈴川克哉氏と、インターバンク市場ドル円外為ブローカーとして活躍した岡三オンライン証券・投資戦略部部長の武部力也氏が対談! 2人がFX で生き残るための方法や相場を読むための情報収集の必要性について熱く語った。

武部:「相場を見る」ためには色々な情報を取りいれることが大切です。

鈴川:コストをかけずとも取引に役立つ情報を入手する方法はありますね。

武部:個人投資家の方たちでも、取引されているFX会社の情報ベンダーを利用すれば、為替情報は無料で簡単に入手できますね。有益な情報を手に入れるためには、労を惜しまず自分の足で調べることです。アメリカの最新の経済情報が知りたかったら、アメリカのニュースサイトを直接調べるといいですし。

鈴川:市場に大きな影響を与えるFRB(米国連邦準備制度)のバーナンキ議長の発言にしても、声明の内容は発表する時にFRBのサイトで全部見られますよ。10〜20ページにはなりますが、見た方がいい。これを読まない人たちはバーナンキさんが「こんなことを言った」「あんなことを言った」と発言を聞いた後に、あたふた取引する。FRBのホームページで声明内容を読んでいる人は、その時にはもう相場に対応しています。

武部:個人投資家の方たちはリアルに流れている情報に対して、もっと貪欲にアプローチした方がいいです。豪ドルを取引するのにRBA(オーストラリア準備銀行)の声明をご自身の情報ベンダーから来るのを待つのもいいですが、RBAのサイトに行けばもっと早く見られます。

鈴川:もちろん英語ですけどね(笑)。でも情報を自分の足で見つけに行くことは大切。市場で何が起こっているのか、なぜそのような値動きになるのかということを分かっていないと、相場に対応しきれなくなります。すばやく相場の情報を入手し自分である程度、相場で何が起こっているのかを考えることで、FXの勝率を上げることはできます。英語を読めないから調べられない、というのは為替の世界ではありえないことです。

武部:昨今のユーロ/豪ドルの下落についてもスイス中銀のサイトを見ていればわかることでしたね。

鈴川:あのときは世界の中央銀行がユーロを売って、豪ドルを買っていました。しかもその情報はスイス中銀のサイトに公開されていましたね。3カ月ごとにいくら買うという数字まで、しっかり書いてありました。

武部:RBAのサイトでも、スイスの動向を認識している旨が発表されていましたね。鈴川 ユーロを取引する人、豪ドルを取引する人はそういった情報も仕入れておかなければいけないんですよ。自分が取引をしているFX会社ではユーロ/豪ドルを取引できないから、自分には関係ない、とはなりません。

武部:最近では翻訳サイトも沢山あるので、英語が分からないという人は、そちらを利用すればいいですね。

鈴川:英語の文章をすべて理解する必要もないです。ある程度の意味をなんとなく分かれば大丈夫。

武部:こうした日本人の投資家たちをみると、東京為替市場はガラパゴス状態とはいかないまでも、ドメスティックな市場になっているように思えます。世界は英語圏を中心に回っているという認識を持った上で、世界の投資家たちは何をやっているのかを知らないといけません。

鈴川:英語圏の人々が多数派なんだと認識していれば、FXの取引内容も変わってきますよ。武部 ひとつ面白い例がありまして、2012年の2月、日銀の金融緩和があった時に、物価目標値が発表されましたね。それを英語圏の人はターゲットと訳し、彼らは大変驚いていましたよ。とうとう日銀もインフレターゲットを導入したか、と。

 しかし当の日本人投資家たちは彼ら英語圏の人がマーケットに反応するのを見て、慌てて反応したという人もいました。日本の投資家たちが自分の市場で起こったことに、遅れて参加するというのは一種の悲劇ですよね。

※マネーポスト2013年新春号