目先の価格変動に一喜一憂せず、業績や相場動向には鈍感でいこう
情報化時代ということで、経済の統計データをはじめ企業の業績変化や株価動向まで、価格への織り込みが瞬時化してきている。機関投資家はもちろん、個人投資家も最新データへの感応度がやたら高くなってきた。いわゆる?同時性〞というやつだ。最新の情報やデータを手に瞬時に対応するというと、なんとなく高度に洗練された投資をしている感じになる。だが実は、そこには大きな落とし穴がある!


目先の価格変動を追いかけるのではなく、将来の価格にベットする

現在のようにこれだけ情報化とコンピューター化が進むと、投資行動の?瞬時性〞と?同時性〞が高まる一途となるのは避けられない。

おびただしい情報の中には価値判断を伴うものもあるが、それも瞬時に価格に織り込まれる。そして、その価格をベースに次の投資行動に移っていく。となると、どうしてもディーリング志向の薄っぺらな価格形成がマーケットでは支配的となっていくのは仕方がない。

ディーリング的にドドッと買い群がったり売り急いだりする投資家が多くなると、もう価値判断も何もなくなる。ただ、上がっているから買う、下げ始めたから売るとなれば、付和雷同マーケット以外の何物でもない。

まさに、アホが買えば上がるし、アホが売りに転じれば下がるといった感じの、単純極まりない相場展開となる。もうそうなると、短期のディーリング売買に徹するしかなくなる。

個人投資家の皆さんも、よくデジタルデバイドといわれるように、情報化の流れに乗り遅れたら大きな機会損失を被ると考えるかもしれない。ネットをフル活用して情報化に乗らないと、まともな投資ができないといった不安感に襲われる……かもだ。

だが、そんなことは心配いらない。どうせ機関投資家をはじめとして、ディーリングのプロたちもそれほど儲かっていないのだから。それよりも、しっかり押さえておきたいことがある。

将来の価値の高まりをしっかりとイメージできれば、それで十分

われわれ長期投資家は、そもそもディーリング投資とは一線を画している。目先の価格変動を追いかけるのではなく、将来の価格にベットする(賭ける)のだ。

それには「推」、つまりしなやかなイマジネーション力と「論」、つまりしっかりと論理を組み立てる作業が必須となる。将来の価値の高まりをある程度しっかりとイメージできれば、もうそれで十分である。

そういった将来の価格を、現在の利子率から割り出す作業は多くの機関投資家がやっている。これを※DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法というが、それはあくまでも現時点の情報をベースとしている。

われわれ長期投資家の「推」と「論」は、現在の利子率そのものだって変動要因と考える。したがって、単純に将来価格を割り出すことに何の意味も価値も感じない。

やらなければならないのは、たとえば金利が今後どう変動していくかを読み込む作業である。その際、できる限り柔軟にイメージ力を働かせ、かつ論理的に押さえるのだ。

先進国を中心に世界各国の政府中央銀行は未曾有の資金供給で金融危機を乗り切ろうとしている。政策金利をゼロ状態にまで引き下げたり、住宅ローン債券や既発国債を市場から無制限に買い入れたりと、尋常ではない金融緩和政策をとり続けている。

ここから読めるのは、大量の資金供給がいつかは効いてきて、企業活動の活発化と株価の上昇が顕在化してくるだろうということだ。

※DCF(Discounted Cash Flow)法は、企業価値の評価法のひとつ。企業が持つ株式や不動産などの資産が将来にわたって生み出す収益(キャッシュフロー)を現在価値に割り引いて評価する。