「黙っていても自然に給与が増えていく時代は終わったと言っていい」と語る平康慶浩氏

写真拡大

1月28日、日経平均株価は一時、約2年9カ月ぶりに1万1000円台に回復した。円高も収まり、円安に進むなど景気回復傾向にある日本だが、もっとも気になるのは目下の収入だ。しかし、その給料に危機が迫っているという。

一部上場の超有名企業から“グレー系”まで、あらゆる業種・業態の企業約120社の人事ルールをつくってきたコンサルタント・平康慶浩氏が衝撃の事実を告げる。

「今や日本の会社の4社に1社が、社員の給料が前年よりも高くならない仕組み、つまり『昇給』がゼロなんです。残る3社のうち2社は昇給5000円未満で、5000円以上増えたのは全体の4分の1だけです」

就業期間が増えるほど、スキルが身につき“仕事力”も上がるもの。なのに給料が上がらないなんて……。

「飲食サービスや運輸業では、すでに約半分の会社が昇給ナシか、給与引き下げを行なっています。経団連も一度は『定期昇給を聖域とせず』と宣言したし、大手メーカーの経営危機でわかるように、大企業でも先行きは不透明。つまり、勤続年数とともに定期昇給していく『古きよき日本企業』の数は、激減中なんです。黙っていても自然に給与が増えていく時代は、終わったと言っていいでしょう」(平康氏)

年功昇給を残す企業の多くも、「上限=天井」に達したら、そこから給与が増えない「レンジシート」という仕組みを導入し始めているという。

一方、岡村聡氏の『「29歳貯金ゼロ! 年収300万! このままで大丈夫か!?」と思ったら読む本』(ダイヤモンド社)掲載のデータによれば、20代後半の平均年収は1995年から2010年までに364万円から336万円と、実に30万円近く下がっている。

このデータは「民間給与実態統計調査」(国税庁)と「就業構造基本調査」(総務省)をもとに、岡村氏自身が作成したもの。これによると経営層の減給やリストラなどで落ち幅は上の世代のほうが大きいが、平均年収は全世代で下がり続けており、下の世代は一生この流れが続くと予想される。当然、生涯収入は上の世代より激減する。

しかし平康氏は、そこで嘆いているのは、自分も古い価値観に縛られている証拠だと言う。

「確かに厳しいです。しかし、そこから抜け出し、新しいルールのなかで給与を増やす努力をしなければ何も始まりません」(平康氏)

人事ルールが大きく変化している今の世の中。リストラを回避し、会社に居座れば老後も安心……なんて、もう言っていられないのだ。

(取材・文/佐口賢作、撮影/本田雄士)

■週刊プレイボーイ6号「『出世とお金』新ルール <ウルトラリアル版>」より