江戸時代にコレはいくらだったか?




物価は当たり前ですが時代によって変わります。長い間、日本の物価は主食であるお米が基になって変動してきました。江戸時代の物価は現在と比べるとどうだったのでしょうか。調べてみました。





■まず1両は現代のいくらぐらいか!?



江戸時代の1両は今でいうといくらぐらいなのでしょうか。お米の価格を基に物価を考える先生が多いようです。



例えば「慶安の御触書」が歴史の教科書に出ている時代。江戸時代の初期で、「由井正雪の乱」が起こった時代ですが、この当時に「米1石7斗で1両」という記録があります。これを基に計算してみます。



現在のお米の金額ですが、米1俵(60kg)を2万4,000円としてみます(10kg4,000円)。



1石7斗 = 17斗

1斗 = 10升

米1升が約1.5kgなので、1斗 = 15kg

したがって、米1俵の60kgが4斗

1両 = 17斗 だったので

17斗 ÷ 4斗(米1俵) = 4.25(俵) = 1両

ということは、

2万4,000円 × 4.25 = 1両

10万2,000円 = 1両



米価を基にすると、江戸初期には、

「1両はざっくり10万円」ということになります。



江戸時代は265年もあったので、この米価は変動します。時代が下るほど米価が上がって1両の価値は下がるのです。



同様の計算を行ってみると、江戸中期では「1両は約8万円」、江戸後期になると「1両は約5万円」ぐらいになります。



■1両が何文になるのか!? それは何円なのか?



さて、次の問題は1両が何文になるかです。この交換レートがまた変動します。江戸初期では「1両 = 銀50匁(もんめ)」でこの「銀50匁」が「4,000文」だったりしますが、これが江戸後期、末期になると「1両 = 銀150匁」で、「銀150匁 = 10貫文」(1万文)になったりします。



ですので分かりやすく平均値をとることにすると、

(江戸後期の1文は約5円になってしまうのでだいぶその数字に引きずられますが)

1両 = 約7万7,333円 1文 = 約16円



この数字を使って江戸時代の物品がいくらか見てみましょう。



■お米 1升77文 = 1,232円



お米こそ最も大事な価格で、お米の価格が暴騰したりすると途端に社会不安が起こりました。現在のように「物価が安定している」というのはむしろ歴史上では珍しいことです。



当然ですが、その価格で止まってはくれません。1602年(慶長7年)に1升21文、1845年(弘化2年)に1升65文という計算があります。その間243年、米価は3倍になっているわけです(もちろん地方によっても全く異なります)。21文だと336円、65文だと1,040円です。



■おみそ 6匁で100文 = 1,600円



お米と同じく日本の食卓に欠かせないおみそですが、調味料として認識されだしたのは江戸時代からです。それまではどちらかというと保存食の一種でした。100文というところでしょう。この価格からも分かるとおり、おみそは高価なものでした。



■しょうゆ 1升188文 = 3,008円



しょうゆが現在のように大量に消費されるようになったのは、やはり江戸時代です。17世紀中盤(1640年代といわれていますが詳細は不明)には「こいくちじょうゆ」が江戸近郊で考案され、またほぼ同時期に関西では「うすくちじょうゆ」が作られました。



江戸初期にはしょうゆはまだぜいたく品でした。都市部以外、農村部などでもしょうゆが普及、浸透するのは実は江戸も後期になってからです。したがって、江戸初期においてはしょうゆは高価なものでした。ちなみにこの価格は文政年間の価格です。



■豆腐は良いおかずとして大流行 1丁50文 = 800円



豆腐は江戸時代に庶民に愛されました。なにせ江戸の三白といえば、「白米、大根、豆腐」のことです。しょうゆをかければすぐにご飯のおかずになりますし。豆腐1丁は50文。ただし、江戸時代の豆腐1丁は現在の4丁分ほどの大きさだそうです。ですので現在の1丁に換算すると200円ぐらいですね。



ちなみに豆腐といえば、お金に困った倹約大名の定番おかずでした。とにかく「豆腐ばっかり」みたいな記録が残っています(笑)。



■蜆(しじみ) 1升10文 = 160円



蜆(しじみ)といえばおみそ汁の具にいいですね。1升ですから1.8リットル。余るほどのたっぷりです。このたっぷりさで160円とは相当お得ですね。長屋の隣近所で分け合ったりしたのでしょうか。



■菜種油 40文 = 640円



現在と違い電気がありませんので、江戸の庶民の皆さんの夜の明かりは、普通は行灯(あんどん)です。皿に油を入れて、そこに芯を浸して火を付けるわけです。この油は高級品だと菜種油。安いのは魚油です。化け猫が行灯をぴちゃぴちゃなめるのは魚油だからです(笑)。



■蝋燭(百目蝋燭) 1本200文 = 3,200円



蝋燭(ろうそく)は高級品でした。夜の明かりとしてはこれ以上のものはなかったのですが、太めの百目蝋燭が、1本3,200円。これでは庶民はとても毎日は使えないですね。ちなみに江戸には溶けた蝋を回収するリサイクル業者がいました。



■夜鳴きそば・うどん 16文 = 256円



二八そば。2×8=16文になるからという説や、そば粉とつなぎの割合が8:2だからなどの説がありますが、いずれにせよ16文がポピュラーな値段だったようです。「ひい、ふう、みい、よう、いつ、むう、なな、やあ……今何時でい?」でおなじみの落語『時そば』も16文だから成立する話ですね(笑)。



■まだスナックだったころのおすし 1貫(カン)8文-10文 = 128円-160円



現在の「にぎりずし」の形態ができたのは江戸時代の末期。屋台で食べさせるスナックでした。現在の回転ずしとあまり変わりのない金額ではないでしょうか。



志賀直哉の『小僧の神様』は1920年(大正9年)に発表された小説ですが、その中には屋台で食べるおすしの雰囲気がとてもよく描かれています。



■床屋さん 1回28文 = 448円



散髪屋さん、すなわち「髪結い」は当時の社交場でした。といってもお店を構えて営業している人と、お得意さんのところを回って歩く人がいたそうです。1回448円だと相当安いですよね。



■風呂屋 大人1人10文 = 160円



江戸っ子はお風呂好きでした。当時のお風呂はそもそも男女混浴でしたが、うす暗くて湯気もあるしで風呂桶の方はよく見えなかったそうです。いや、よく見えなくてもいいんですが(笑)。入るときは「ひえもんです!」と一声かけて入るのがマナーでした。「ひえもん」というのは「冷えもん」のことで、「冷たい体の者が入りますよ。すみません」ということですね。ちなみに子供は8文、128円です。



■マッサージ 1回16文 = 256円



江戸時代のマッサージは「かみしもー16文」とやって来るというのが『座頭市』などで見られるシーンです。この上下(かみしも)というのは、体の上下、つまり全身のことで、全身もんで16文ということですね。非常に安価だったといえるでしょう。



■傘 1本200文 = 3,200円



「傘貸してくれ」「ちょうちん借りにこいよ!」というやりとりが落語の『道灌』(どうかん)にありますが、江戸時代には傘も大事な家財でちょっと高価でした。今のようにどこでも簡単に500円で購入できるというわけにはいかなかったのです。



価格を現在と比べてみると、お米やしょうゆ、おみそなどは確実に現在の方が安価ですし、また照明も当然のことながら現在の方が安価で明るい。私たちの暮らしは確実に良くなってるんでしょう!?





(高橋モータース@dcp)





*……ここに表示した江戸時代の価格はあくまで一例です。時代、また場所によって価格は変動します。ご了承ください。