毎日新聞社のグループ企業・毎日新聞デジタルが編集している美容・健康に関する情報サイト『毎日キレイ』で1月16日に「13年に注目したい水3種」と題して、海外で深刻な健康被害が報告されている純銀イオン水など3種類の水や疑似科学の代表例として知られる「水からの伝言」を肯定的に紹介していたことが問題になっています。

執筆者として「内山真季」の署名が入ったこの記事ではミネラル炭酸水・水素水・純銀イオン水の3種類を取り上げており、ミネラル炭酸水は「胃腸の調子をととのえ、ダイエット効果も期待できるほか、血行を促進するといわれています」、水素水は「活性水素を水に溶かしたものでエージングケア効果に着目されています。体内で活性酸素と結びつき体外へと排出するので、活性酸素が遠因となるさまざまな病気についても改善が認められるそう」、そして純銀イオン水は「食品添加物として認められている銀が微量に溶け出した水のこと。消臭・除菌効果があり、しかも飲んで安全」としていますが、いずれも然るべき研究機関や論文などの提示はありません。それどころか、最後に紹介した純銀イオン水に至っては銀沈着症により皮膚が青ざめた色へ変色する深刻な健康被害が報告されており、有効な治療法も確立されていないことを理由にアメリカ合衆国食品医薬局(FDA)が水やサプリメントへの銀や銀化合物の添加を禁止するなど、明らかに記事中で宣伝されているような美容・健康志向とは対極の存在です。

しかも、記事の締めくくりでは疑似科学の代表例としてゲーム脳やEM菌と並んで名前が挙がることの多い「水からの伝言」について、以下のように肯定的な形で紹介しています。

書籍「水からの伝言」(江本勝著)やドキュメンタリー映画「WATER ウォーター」(ロシア)で話題になりましたが、最近の研究では「水は情報を伝え る」ことが明らかになっています。愛や感謝を伝えた水を瞬間冷凍すると、たいへん美しい結晶となるのです。ですから、水を飲むときに「ありがとう」と感謝 してみましょう。“体が喜ぶ水”を飲みながら、水資源に心から感謝する。これが13年の正しい水との“おつきあい”です。


問題の記事に対しては『Twitter』でツッコミが続出する炎上状態となり、また編集部に対してクレームが数多く寄せられたためか27日までにサイト内から記事が削除されましたが、どうしてこのような深刻な健康被害をもたらす危険性が高い疑似科学を肯定的に紹介する記事が掲載されたのかについては記事執筆時点の29日現在も『毎日キレイ』のサイト上で読者に対する説明は行われていません。

Togetterまとめ:注目されてます!<水>13年に注目したいミネラル炭酸水、水素水、純銀イオン水 (毎日キレイ)

画像:『毎日キレイ』に掲載された問題の記事(現在は削除)

※この記事はガジェ通ウェブライターの「84oca」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?