すべてが“サッカー中心”なブラジルの人々

海外駐在員ライフ Vol.182

From Brazil

サッカー中心のブラジルでは代表戦の日は会社も休み?


■ブラジル代表の対戦日は学校も会社も休み

こんにちは。サンパウリーノです。今回は、ブラジル人とサッカーの結びつきの強さについてお話しします。

ご存じの通り、ブラジルはサッカー大国。FIFAワールドカップTMでブラジル戦がある日は、学校や企業、店舗などがすべて休みになり、その日は国を挙げてブラジル代表チームを応援することになります。それも、突然休みが決まるのです。特に、決勝トーナメントが始まると、対戦スケジュールがその都度決まるので、急に「よし、明後日は休みだ!」なんてことになります。

期間中は、バーやレストランが店内に何台もテレビを置いて、皆で観戦できるようにしているので、対戦日程が決まると一斉に予約を入れるようにしています。家のテレビで見るよりも、ひいきのチームのTシャツを着て、ビールでも飲みながらブラジル人と観戦するのが、この上なく楽しいからです。バーやレストランの予約はすぐに埋まってしまうので、予約できるバーを探すのには一苦労。前回にお話しした通り、ブラジルはアミーゴ(親友)社会なので、事前にすでにアミーゴになっている馴染(なじ)みのバーに「お願いね」と根回ししておく必要があります。

急に休みが決まることで、一番苦労しているのはメーカー社員の方々。さすがに急遽(きゅうきょ)、工場の生産ラインを止めるわけにはいかないのでしょう。とはいえ、「無理に工場を稼働させても、集中力のない状態で製品を作らせた結果、不良品が出たら元も子もないので…」という理由で、少なくとも試合中は完全に工場を止めるといった対応をしている企業も多いようです。もちろん、当社の業務にも支障をきたしますが、期間中は国中がお祭りなので、致(いた)し方ないと捉えています。当然、学校でも授業時間が足りなくなったりしているとは思いますが、あまり気にしてないようですね。日本人学校などは、その分、補習を行ったりしていると聞いたことがありますが…。


■サッカーを媒介に同僚や部下との距離も縮まる

このように、“サッカー中心”なブラジルに暮らすことで、最近では、家のテレビでサッカー中継を見ていなくても、外から聞こえてくる爆竹と叫び声から、どちらのチームが点を入れたかがわかるようになりました。「クラシコ」と呼ばれるサンパウロの地元有力チーム同士の対戦時は、歓声と悲鳴の両方が同時に聞こえてくるのです。中でも、「コリンチャンス」というチームは、最も熱狂的なファンがいるチームとして有名ですが、試合の度(たび)に、ファンが「コリンチャーンス!!」と叫びながら爆竹を鳴らしています。一方で、コリンチャンス以外のチームのファンである“アンチ”コリンチャンスファンとなると、コリンチャンスが点を入れられた場面で、一斉に爆竹を鳴らしながら喜びを表現します。リーグの重要な試合の日などには、コリンチャンスファンも“アンチ”も、大声で叫びながら街中で爆竹を鳴らすので、大変賑(にぎ)やかです。

そんなブラジル人ですが、FIFAワールドカップTMでブラジルが負けたときなどは、意外と冷静に受け止めています。「さあ、お祭りも終わったことだし、そろそろ仕事しようか。また4年後ね」といった感じでしょうか。ただ、ブラジル敗退後も決して無関心になるわけではなく、「ブラジルは5回優勝していて、優勝回数は最多。今もナンバーワンのままだ!」「イタリアが優勝するとFIFAランキングがブラジルに近付いてしまう。だからイタリアだけは負けろ!」とか、「アルゼンチン以外なら、どこが優勝しても構わない」などと、それぞれが勝手なことを言って楽しんでいます。

実は、私の仕事においても、サッカーは実に重要な位置を占めています。それは、サッカーを媒介に現地のスタッフとの距離を縮めることができるから。常に試合の勝敗を追いかけ、私が応援しているチームが勝ったとき、同僚が応援しているチームが負けたときには、すかさず互いに反応することで、一緒に楽しみながら、一体感が味わえます。例えば、私のひいきのチームが負けたときなどは、冗談交じりに「これからもっともっと泥沼にはまるだろう。祈ってる」なんて薄気味悪いSMS(ショートメール)が同僚や部下から送られてくることも。サッカーに関しては、上司も部下も関係なし。共に楽しむことができるのです。

次回は、私のサンパウロでの暮らしについてお話しします。