まんだらけ、違法就労訴訟で敗訴!長時間の強制タダ働きの実態が露呈

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 同人誌や古本、コスプレ、ドール、ブリキなどのサブカル品を販売、買取する東証マザーズ上場の「まんだらけ」が12年11月16日、従業員の違法就労疑惑により法廷で裁かれた。

 訴状や陳述書、判決文によると、原告で元社員の万田麗香氏(仮名、現30代前半)は、07年夏にまんだらけに入社し、都内の中野店で、店舗スタッフとして配属された。以後、渋谷店、池袋店への勤務を経て、08年4月の、おたくの一大デパート秋葉原コンプレックス館のオープンに合わせ、同館の店舗スタッフとなった。

 店舗スタッフの仕事内容は、大きく分けて、開店前の準備、開店中のレジ打ち、閉店後の片づけとなる。今回問題となったのは「時間外労働」だった。

 まんだらけの就業時間は「12時から21時(うち休憩時間60分)」と定められている。しかし、開店前の準備作業のため、11時20分に出勤するように言われた。

 部屋の掃除や備品補充、ゴミ捨て、作業台の整理、商品補充、レジ周りの準備、店頭へ商品陳列に加えて、朝の全体ミーティングも規定就業時間前の11時45分から設定されていたという。

 また、20時の閉店後も、清掃、棚埋め(売れた商品で空いた棚に商品補充)などのクローズ作業があり、、その合間に、20時30分からフロアミーティング、20時45分から全体の社員ミーティング、その後、各部署に分かれてミーティングがあり、全てのミーティングが終わるのは21時過ぎになることが多かったという。

 その上、その後に片付いていない作業に再び取りかかる。自分の仕事が早く終わり責任者に報告すると、「じゃあ、こっち手伝って」などとさらなる仕事が託された。毎週日曜日の22時からは、新入社員ミーティングも行われた。こうして結局、終電か、終電間際に退勤することが多くなったが、これらの定時前、定時後の時間外労働の賃金は、一切支払われなかった。

 それだけでない。秋葉原コンプレックス店の配属だった08年5月に、池袋店の「未箱査定」(客から宅配で送られてきた買取用の本などを査定する作業)が、常時100箱以上たまるようになり、この作業を閉店後に同店舗に行ってやるように命じられたのだ。「次の日出勤なので、徹夜はしたくない」と断っても、「いいから来て」と電話で呼びつけられ、強制的に参加せざるを得ない状況になった。もちろん多くの場合、徹夜での作業となった。

 こうした閉店後の未箱査定が、月2〜4回のペースで約3か月間にわたって続いた。自店の閉店後に池袋店に行き、朝9時〜10時まで作業をして、そのまま秋葉原コンプレックス店に出勤という過酷労働を強いられたのだという。

 さらに酷使されたのは年2回の「棚卸し」だった。これは売り物をすべてカウントする作業で、全スタッフが行う。まんだらけの商品は在庫量が膨大で、通常の勤務時間では到底終わらない。

 期日までにカウントが間にあわない時には、定休日に3〜4時間、タイムカードを押さずにタダ働きで出社することもあったという。これは社内で「ゆうれい」と呼ばれていたようだ。

 棚卸しの前夜には、午前2時〜3時くらいまで毎回徹夜で作業をして、遅い夕食と仮眠を取り、7時ごろからカウント作業。カウントが一通り終わると、最初のカウントが合っているのか、リカウントをする。棚卸の時期は、10〜14日の連続勤務が当たり前だった。

 こうした会社の対応に不満をもった万田氏は、11年3月末に会社を辞めた。その後、万田氏は会社を相手取り、未払いの残業代229万46円と、付加金219万46円の支払いを求める訴えを東京地裁に提起した。「付加金」とは、労働基準法114条に基づき、未払い金に対して会社側が「倍返し」で支払うペナルティのことだ。

 その一審判決が12年11月16日にあった。判決で東京地裁民事11部の光本洋裁判長は、「被告においては、店舗スタッフの人員が不足しており、特に、原告が主に勤務していたコンプレックス館■階(※数字は伏せる)のフロアにおいては、それが顕著であって、恒常的に所定終業時刻後の時間外労働が行われていた」と断定。

 棚卸についても「コンプレックス館、池袋店においては、3月及び9月に棚卸しを行うこととされており、棚卸しの日が近付くと、従業員には、倉庫の品物のチェックの状況によって繁忙な状況が続き、少なくとも棚卸しの日の前の日には所定終業時刻後、翌早朝まで勤務を行うことが常態化していた」と指摘。

 結論として、「被告は、原告に対し、223万3,606円を支払え」(未払い賃金)、「被告は、原告に対し、210万8,165円を支払え」(付加金)と命じた。原告万田氏の完全勝訴判決である。

 まんだらけは、売上高86億円、経常利益7億3千万円(11年10月1日〜12年9月30日)と業績も絶好調。ただ、その利益のかなりの部分が、日本の誇るオタク文化を愛する社員たちのタダ働きによって生み出されている。

 あるいはひょっとすると、ここに入社する人たちのなかには、自分の好きなことに携われるので、たとえ、残業代がなくてもいい、と思っている人もいるのかもしれない。だが、そうでない人もいる。

 まんだらけは上場企業だが、もしも元社員や現役社員が、一斉に残業代を請求する訴訟を起こせば、この会社は持たないかもしれない。

 実際、第二の万田氏がすでに出現している。12年10月19日、元社員1人がまんだらけを相手取り、未払い賃金140万7,750円、付加金132万4959円、不法行為責任して10万円の支払いなどを求める訴えを東京地裁に起こしているのだ。

 万田氏の一審判決と、この第二の訴訟を、まんだらけはどう考えているのか? 筆者の質問に対し、現在までのところ、同社から回答はない。なお、まんだらけ全面敗訴事件の詳細は、ニュースサイト・マイニュースジャパンの12年12月14日付「オタクのデパート『まんだらけ』タダ働き事件 一審判決で元社員勝訴『残業代等433万円払え』」に詳しいので是非読んでほしい。
(文=佐々木奎一)