[其ノ三 注目商品 生命保険料対決編]一般生命保険の保険料の安さに軍配
一般生命保険VS.ネット生命保険

同じ商品なら、ネットで買ったほうが安いというのは今や常識。生命保険もネットのほうが安いはずだ。しかし、比較すると意外な結果が…。


ネット生保の保険料が必ずしも安いとは限らない

実店舗をショールームのように利用して商品をチェックし、注文はネット店舗に出す「ショールーミング」という消費者の行動が注目を集めています。理由は多くの場合、ネットのほうが安く買えるから。金融業界でも店舗を構える対面型の銀行や証券会社よりも、ネット銀行やネット証券のほうが、金利は高めで手数料などは低めです。

では、生命保険会社の保険料も代理店や営業職員・通販ルートで販売する一般の生命保険より、自社のウェブサイト上のみで販売するネット専業の生命保険のほうが安いのでしょうか。保険に詳しいファイナンシャル・プランナーの金子千春さんは、「全体としてはネット生保のほうが安めですが、個別の比較では、ネット生保の商品が必ず安いとは限りません」と言います。

そもそも一般生保とネット生保には、どんな違いがあるのでしょう。金子さんによれば、一般生保の優れた点は主に以下の3点です。?商品内容が複雑な分、個別のニーズに合った保障を見つけやすく、セミオーダー的に付けることもできる。?リスク細分型を選べば、非喫煙者や優良ドライバーは保険料を抑えられる。?対面販売は、将来のライフプランを踏まえた商品を相談しながら選べる。

これに対しネット生保は、?商品内容がシンプルでわかりやすい。?自宅にいながら、いつでも加入申し込みができる。?自分の判断で必要な商品を選べる。

それぞれ以上のようなメリットがあり、ちょうど表と裏という感じです。

具体的な商品で比べてみましょう。最初に比較するのは、病気やケガをして手術や入院をしたときに保障が受けられる「医療保険」です。条件は⑴1入院60
日までの保障、⑵終身払いで加入、⑶保障期間は終身、⑷保険料は月払いであることです。



見逃すな!一般生保のほうが安くなるケース

一般生保の商品はオリックス生命の「CURE」という人気商品を選びました。ネット生保の商品で⑵と⑶の条件を満たすものはL社の商品しかありませんでした。N社の医療保険は保険期間が10年のもの(10年更新で80歳まで更新可能)しか選べないため、保険料の払込期間も10年になってしまいます。⑷は家計
への負担が軽い月払いとしたものの、「CURE」では半年払いや年払いも選べます。年払いを選ぶと、1年間の保険料が月払いに比べて2.5%程度安くなります。

月払いの保険料を比較すると、手術保障を付けた「CURE」では30歳男性で1750円、30歳女性で1700円、40歳男性で2390円、40歳女性で2070円。L社の保険は30歳男性で2326円、30歳女性で2306円、40 歳男性で3031円、40歳女性で2943円。

男性で約2割、女性で約3割も一般生保のほうが安く、ネットは安いというイメージが覆ってしまいました。

もうひとつ、残された家族に毎月の生活費を残せる「収入保障定期保険」の比較(月額10万円の給付金、保険期間・保険料払込期間60歳満了)では、おもしろい結果が出ています。

一般生保のNKSJひまわり生命であれば、喫煙状況・健康状態(血圧およびBMI=肥満指数が一定の範囲内に収まる)などにより保険料が割安になるリスク細分型が選べます。ネット生保のN社には、そうした区別がありません。そのため30歳男性で比較すると、ひまわり生命の通常区分では3380円、非喫煙健康体区分では2490円。N社は3240円。「タバコを吸わない人にとっては一般生保が有利、吸う人はネット生保が有利ですね」と金子さん。

今回の対決は一般生保の勝ち。ただ一般生保といっても営業形態はさまざまで「営業職員をたくさん抱えている生保の商品は保険料が高めなので、自分が保険に求めるものをはっきりさせてから比較してください」と金子さんはアドバイスします。



【今月の対決立会人】
金子千春(CHIHARU KANEKO)
ファイナンシャル・プランナー

日本長期信用銀行(現・新生銀行)を経て、2003年に独立。保険の見直しや住宅ローン、資産運用の相談、セミナー講師として活躍中。



この記事は「WEBネットマネー2013年2月号」に掲載されたものです。